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組込み一直線 第2回

第2回 「テストエンジニア」で一歩先行くためには

2008年01月31日 12時00分更新

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仕事のできる「バグ人間」って?  テストエンジニアのとるべきキャリアアップの道筋とは

 テストエンジニアとして頭一つ抜けるには、まずは境界値分析や状態遷移テストなどのさまざまなテスト手法や統計的手法(直交法、田口メソッド、シックスシグマなど)など、テストに関する知識を身につけることです。そうして基礎力を身につけた上で、次はテストの勘所を押さえることが大切になります。これは日々の業務を通して取得していくのが一番の近道でしょう。また、開発の経験がなくても開発に関しての知識を習得したり、仕様について勉強することなども大事です。開発や仕様の知識がある方が的を得たテストケースの作成やテストの実施できますからね。ただ与えられた検査をするのではなく、その意味や意義を考えながらテストをすることは、バグ発見の確率を高めます。

 テストエンジニアの中には、「彼が試験すると、問題が発生してしまう」という“バグ人間”がいます。他の人が同じ事をやっても、どうしても発見できないバグを見つけるスキルを持っている人です。その人のやり方を見ていると、たとえばボタンを連続して3回押すという検査でも、ただ一定のリズムで押すのではなく、1回目と2回目の間に時間をおいたり、2回目を長時間押し続けてから3回目を押すなど、普通ではないやり方をしています。その人は「本当に大丈夫か?」という疑念を抱きながら、さまざまな状況を自ら設定して検査を行なっているのです。このような意識の持ち方、検査の行ない方はとても重要なことです。

 また、検査の内容をしっかりと記録するということも重要です。バグを発見した場合、どういう手順で検査を行なったのか、直近の作業だけでなく、そこに至る過程をもっと前の状況から記録しておきます。そうしないとそのトラブルを再現しようとしても、再現できなかったり、原因が特定できなかったりすることが起こり得ます。すぐれたテストエンジ二アは人が見つけられないバグを発見し、そのバグについて再現性のあるレポートがしっかり書け、問題解決のヒントを提供してくれる人だと言えるでしょう。

 テストエンジニアのキャリアアップの道筋は、テストエンジニアのプロを目指すという方法がまずあるでしょう。たとえば納入先の検査である「受け入れテスト」は、最終段階なので熟練者が行ないます。ただ、このような熟練者(プロ)もいろいろなエンジニアとしての経験を積んだ上でのキャリアです。また、テストの計画、管理、分析などを行なうテスト管理者という道もあるでしょう。いずれにしても、テストエンジニアだけでいたのでは大きな成長は難しいと言えます。開発を経験し、開発のプロを目指すとか、全体をマネージメントするプロジェクトマネージャーを目指すというのもよいでしょう。今はエンジニアとして経験が浅くても、このテストエンジニアをスタートに、ぜひとも組込み系エンジニアのプロを目指して欲しいと思います。

現場で成果を上げるポイント

・限られたコストと時間内で効率よく改善の提案をする
・基礎力とともに日々の現場からテストの勘所を磨く
・テストエンジニアだけでなく、さまざまな経験を積む


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