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柿崎俊道の「海外アニメ小話」

いつかはガンダムを作りたい!──ベトナム人アニメ制作スタッフが語る夢

2008年01月22日 09時00分更新

文● 柿崎俊道

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フランスアニメより細部まで描き込む


 今回、話を聞いたのは3人の若者である。「作画」を担当するトゥイさん、リンさん、「仕上げ」担当のミン君だ(作画と仕上げに関しては、前回の記事を参考)。

 トゥイさんとリンさんは、「AXIS&キャッツ」に入る前にフランスのアニメ制作会社に在籍していたアニメーター歴4年の経験者。多くのベトナム人スタッフは仕事をはじめて1年目の新人ばかり。アニメーター経験のあるふたりはスタジオのリーダー的存在だ。

トゥイさん、リンさん、ミン君

写真左から、作画を担当するリンさん、トゥイさん 、仕上げ担当のミン君

「フランスのカートゥーンにくらべて、日本の作品は美しいので好きですね」(トゥイさん)

「でも、日本の作品はキレイだけど難しいです。特に目と髪の動画の線は繊細なので大変です」(リンさん)

 フランスは日本、米国に次ぐアニメ大国である。ベトナムを植民地としていた歴史を持つことから、ベトナムにはフランスの関連企業が数多い。アニメもそのひとつだ。

 ただ、日本のアニメとフランスのアニメはかなり違う。髪の毛ひとつとっても、日本のキャラクターは毛先の細さにまで気を遣い、サラサラと風になびくように描く。フランスのキャラクターでは紙はカタマリで表現しており、風に吹かれても、1本1本まで執拗に描くことはない。



イケメンキャラは「共通言語」だ


 ところでトゥイさん、リンさんのふたりの女性アニメーターに、描いていて楽しい作品を聞いた。

「『彩雲国物語』です……」

 ふたりとも恥ずかしそうにタイトル名をあげて、キャッと顔を覆う。「彩雲国物語」は美少年たちと貧乏性だけど頑張り屋の女の子が織り成す異世界ファンタジーである。

 AXIS&キャッツでは、『彩雲国物語』の仕事を請け負っている。好きなキャラクターの作画をするときが幸せ、という二人。

 日本のイケメンキャラクターはベトナムに通ず。どこの国でも、女の子はカッコイイ男に弱いのだ。

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