【5】MacBook Air
噂されていた軽量薄型ノート「MacBook Air」もついに発表となった(関連記事)。
「世界で最も薄いノート」ということを前置きしたジョブズは、その薄さを強調するために「MacBook Airが封筒に入った状態」の画面をスクリーンに表示。会場から笑いが起こる中、スライドと同じ封筒を手元から取り出すと、会場は笑いから大きな歓声に変わる。満足した様子のジョブズは、ゆっくりと封筒の中からMacBook Airの実機を取り出した。
CD/DVDドライブは付かないが、ジョブズによればデータのバックアップは「Time Capsule」で、ソフトのインストールは無線でつながったほかのマシン(光学式ドライブの共有が簡単にできるようになったとのこと)で行うという。もうモバイルノートにドライブはいらない」ということだそうだ。
米国価格は1799ドルから。日本での価格は22万9800円からと若干高いが、スペック的には申し分なく、これまで多くのMacユーザーの悲願だった「現実的に持ち歩ける重さの薄型ノート」がやっと手に入ることとなった。Windowsマシンとしてもかなり高速に動作することが予想され、モバイルノートとして日米でバカ売れすることは間違いないだろう。
全体的にほとんどネットで流れていた「噂」通りの結果となった今回の発表だが、個人的にはiTunes Movie RentalsとApple TVのHDムービー配信に大きな可能性を感じた。
ユーザーにとって便利で楽しい「コンテンツ体験」をもたらすためのインフラを作らせたらもはやアップルの右に出るメーカーはない。
あとはどこまでこうした流れが日本にも定着するか、ということがポイントになる。今年はガチガチのDRMでコンテンツを「守る」ことしか頭にない日本のコンテンツホルダーの意識が、アップルのもたらすユーザー体験とビジネスニーズによって少しずつ変わっていく年になるかもしれない。ジョブズの流暢なプレゼンテーションを見ながらそんなことを漠然と考えた。
筆者紹介──津田大介
インターネットやビジネス誌を中心に、幅広いジャンルの記事を執筆するジャーナリスト。音楽配信、ファイル交換ソフト、 CCCDなどのデジタル著作権問題などに造詣が深い。音楽配信関連の話題を扱うウェブサイト“音楽配信メモ”の管理人としても知られる。この8月に小寺信良氏との共著で『CONTENT'S FUTURE』を上梓。