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2008年、SMB市場は第二次需要のピークに――ノークリサーチが予測

2008年01月15日 20時40分更新

文● アスキービジネス編集部

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民間調査会社のノークリサーチは、2008年の中堅中小企業(SMB)市場の展望をまとめた「SMB短観 08年正月版」を発表した。


好調なERP市場拡大、パッケージ全盛期の到来へ


 ノークリサーチが今月9日に発表した「SMB短観 08年正月版」は、同社の専門分野である中堅中小企業(SMB)市場の2008年度の展開について予測したもの。

 レポートでは、SMB市場を年商5億~500億円規模の民間企業・約20万5000社と定義した上で、2008年の同市場を「第二次需要時期のピーク」としている。第二次需要時期とは、オフコンやOA機器による第一次需要時期に次ぐ、ネットワークインフラとオープン化による需要増を指す。

 ノークリサーチでは特に、景気回復やレガシーシステムからのリプレイスなどを理由に、ERPパッケージの導入がますます進むと予測する。同社の調査では、中小企業(年商5億~50億円規模)の35.4%が「ERPの利用意向あり」と回答。SMBのERP市場規模は2006年度の約722億円から2010年度には約1044億円へと拡大するとの予想だ。

2008年、SMB市場は第二次需要の ピークに――ノークリサー...

SMBにおけるパッケージアプリケーションの導入率

 また、従来から導入が進んでいるグループウェアなどの情報系に加え、内部統制やセキュリティ対策の観点から運用管理系パッケージの普及が市場を牽引すると見ており、「パッケージ全盛期が到来している」とまとめている。


続く“守り”の投資、SaaSの普及にも課題


 とはいえ、2008年度もSMBのIT投資の主流は「引き続き“守り”に対するIT投資」(同社)となりそうだ。同社によると、好調なERPに対して、SFAやCRMなどの戦略系アプリケーションの導入は低調に推移しており、「ここ数年変化がない」状況。「ニーズは存在するが、SMBに適した機能、価格、提案、サービスを行なえる売り手がいない」という。

 また、昨年話題を集めたSaaSについては、「業界の期待は高いが、現実的にパッケージから置き換わる可能性は極めて低い」との厳しい見方。Web上でユーザー自身がマッシュアップを行なうといった利用法の定着にも「数年単位の時間がかかりそう」と説明する。

 SaaSへの置き換えが進まない理由として挙げられているのが、「ベンダーはパッケージのビジネスモデルを固めつつある段階で、SaaSへの急な転換はしない」というのもの。同社は、SaaSがパッケージの代替ではなく、SaaSを取り込んだ包括的な業務アウトソーシングサービスとして広がるのでは、と見ている。また、特に中小・小規模企業に対しては、「国・各種団体などによる支援施策が需要喚起の可能性を持っている」と説明する。

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