月刊アスキー 2008年2月号掲載記事
12月10日、エースコックが発売した「つゆ焼そば」と「カレーラクサ春雨」は、mixi上で募集したアイデアを商品化したものだ。
商品の一部にアイデアを取り入れた例はあるものの、企画段階から企業とユーザーがやりとりしながら商品化したのは、mixiではこれが初めて。専用コミュニティではユーザー同士で活発な意見が交わされ、商品発売前からすでに「ファンの集まり」として機能していた。
商品企画を担当した同社マーケティング部の村上稔氏によると、ユーザーの声を取り入れるためにSNSの利用を思いついたという。
「最大手のmixiなら、カップめんに対する感度の高い方が多く集まると期待できました」。しかし自由なコメントが集まる反面、担当者の振る舞いによっては反感を買ってしまう懸念もある。
「自分の発言の影響度は高いですから、自分も一ユーザーのつもりで、いつも“ユーザー目線”を意識していましたね。気にかけたのは、最終案の発案者が途中で退会しないよう、常に盛り上げていくこと。個別にアプローチして引き留めることは一切できませんから」。
良い雰囲気を持続できたのは、村上氏が演じる開発員「コブかみ」というキャラクターの役割も大きい。常にハンドルネーム「コブかみ」を名乗り、マスコミ発表会を兼ねたオフ会でも同社のキャラクター「こぶた」のかぶり物で顔を隠す徹底ぶり。
「ユーザーのイメージを壊さないようにする気遣いです。これで、よりユーザーに近いイメージを作れたし、ユーザーからの蕫バリア﨟のような役割を果たした可能性もあります。企業のリアルな顔を見せていたら、結果は違っていたかもしれません」
年間600~700アイテムが発売され、商品寿命は短いもので1カ月、という激戦のカップめん業界。話題作りとユーザーの囲い込みに発売前から成功したこの商品の期待値は高い。