2008年は子年(ねずみどし)! ということで、本年第一弾はねずみにまつわる映画を紹介する。アメリカン・ニューシネマの代表作「真夜中のカーボーイ」、動物愛護と因果応報を示唆する「ウィラード」、磯山さやか主演のセクシーアクション「女ねずみ小僧 ただいま参上!」の3作品だ。
ああ、ニューヨーク砂漠……
男たちの孤独と友情を描く
「真夜中のカーボーイ」
真夜中のカーボーイ
DVD発売中
価格:1490円
20世紀フォックス ホームエンターテイメント
発売日:2007年10月24日
http://www.foxjapan.com/
子年一発目に観たい映画といえばコレ。アメリカン・ニューシネマの傑作「真夜中のカーボーイ」(Midnight Cowboy)だ! ダスティン・ホフマンの役名がラッツオ(ネズミ野郎)だからねずみ映画、というのは強引かもしれないが、逆に「ネズミ」と聞いてなんとなく思い浮かんでしまうぐらい、心に残る名作だ。
ここで絶対に言ってはいけないのが、「“カーボーイ”じゃなくて、“カウボーイ”じゃないの?」という突っ込み。邦題をカーボーイにしたのには意味がある。都会的な雰囲気を演出するためにCow(牛)ではなく、Car(クルマ)を当てたのである。ちなみに名付け親は水野晴郎先生。これ豆知識ね。
大都会ニューヨークで一旗あげようと、意気揚々とテキサスからやってきたジョー。自慢のルックスで女どもから金を巻き上げようとするも、逆にむしり取られる始末。絶望感に打ちひしがれるなか、出会ったのがラッツオと呼ばれる小男。お互いに利用するつもりで接近するも、いつしか2人は奇妙な友情で結ばれるのだが……。
お人好しで単純明快な田舎者のジョーと、狡猾で薄汚い都会の詐欺師ラッツオ。共通するのはすべてに見放された社会的弱者だということ。今風に言うなら下流といったところ。
そんな2人が見つけた新たな夢はフロリダに行くこと。行ったところでどうなるものではないことは分かっている。それでも今いる場所よりはマシだろうと、なけなしの金をはたいて長距離バスに乗り込む2人。そこで待っていたものとは……。
アメリカンドリームの終焉を社会的弱者の視点から描ききった傑作。物語は暗いトーンで進むのだが、絶望的な状況にあるからこそ、ジョーとラッツオの友情が胸を打つ。
イギリス人監督ジョン・シュレシンジャーのクールな演出もさることながら、ジョー役のジョン・ボイト(アンジェリーナ・ジョリーの親父)、そしてダスティン・ホフマンの演技が素晴らしい。
アメリカン・ニューシネマの枠を軽々と超え、映画史に燦然と輝く名作中の名作だ。
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