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「SaaSか? セカンドライフか?」――アスキービジネスが振り返る今年の重大ニュース

2007年12月28日 16時08分更新

文● アスキービジネス編集部

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WindowsVistaの発売やSaaS、セカンドライフの流行など、話題の多かった2007年のIT業界。この1年、ITとビジネスの現場に密着してきたアスキービジネス ニュース班のスタッフが2007年を振りかえる。


話題の中心はSaaS、SOA、日本版SOX法……


記者A:2007年を振り返って、一番大きかった話題なんですかね?

記者B:キーワードとして、ふと思いつくのは「SaaS(Software as a Service)」かな? 大きな話題から周辺の話題まで、頻繁に取り上げました。発表会なども2006年のころから比べると、明らかに出席してる記者が増えてる。

記者C:最大手のセールスフォースが日本郵政公社(現・郵便局株式会社)に採用されたのは、インパクトとして大きかった(参考記事)。それ以外にもセールスフォースはプラットフォーム戦略など派手に展開してる。ライバルのネットスイートの日本法人には新しい社長が就任し(参考記事)、新製品も投入しました(参考記事)。

記者B:どことは言わないけどSaaSを真似た「SaaS2.0」とか「Service as Software」「Security as a Service」などという言葉を使うベンダーも出てくる有様で……。ここまでくれば完全に流行のキーワードだね。

多くの来場者で混みあうSaaS World 2007の展示会場

多くの来場者で混みあうSaaS World 2007の展示会場

記者A:オラクルやSAPのような大手ITベンダーもSaaS形態で製品を提供しはじめて(参考記事)、マイクロソフトもKDDIと提携してSaaSプラットフォームを立ち上げる動きを見せています(参考記事)。今年開催されたSaaS Worldは、基調講演で立ち見が出るほどの盛況振り(参考記事)。行政もSaaSの推進に積極的な姿勢を見せていますし、2008年に向けて盛り上がる大きなムーブメントだといっていいでしょう。

記者B:話題先行の感はあるけど、ソフトウェアをWebベースでサービスとして提供するという概念は、2000年ごろに「ASP」として注目されながらも一部業界にしか定着しなかった過去があるけど、通信環境やWeb技術の進歩でようやく実現段階に入ったのかな。

記者C:意味合いは違うけど、同じサービスという言葉が使われてる「SOA(サービス思考アーキテクチャ・Service Oriented Architecture)」はどうでしょう。「SOAを実現しよう」という掛け声自体は3年くらい前から、叫ばれてますが……。

記者A:SOAにまつわる関連製品の発表も少なくはなかったけど、反響はあまり大きくありませんでした。SOAはシステム構築の手法ですから、SaaSのように直接的に製品として提供されているものではないから、いまひとつ実感にかけるものかもしれません。

記者B:「SOAを実現する」という目的のプラットフォーム(参考記事)やツール(参考記事)などがいまだに発表され続けるという意味では、まだまだ普及していない段階なんだろうね。ソフトウェアの部品化という考え自体は、SOAという言葉が出る前からあるものだから、ソフトウェア開発者の永遠の課題が現在はSOAという言葉になってるだけで、SOAが実現した後も、同じような概念が別の名前で課題として登場する気がする。

アスキービジネスが主催した日本版SOX法関連のセミナーも大盛況に終わった

アスキービジネスが主催した日本版SOX法関連のセミナーも大盛況に終わった

記者A:2008年3月には施行される「日本版SOX法」関連はどうでしたか?

記者C:2006年に引き続き、話題としては大きなものがありました。ただ、対象となる上場企業の多くは準備に着手してなければいけない段階でしたから、目新しい動きはなかったように感じます。

記者B:「日本版SOX法対応」や「内部統制対策」を謳う製品は、引き続き発表されていたけど、中にはセールストーク的にこれらのキーワードを利用してるだけのケースも多かった。

記者A:たしかにITの話題として、日本版SOX法や内部統制は無視できないものですが、ITの世界だけで完結するものではありません。むしろ、ITは日本版SOX法への対応や内部統制を実現するための1つの手段でしかありませんから、法施行を待つ段階になって話題が収束しつつあるのは、正しい姿なんでしょう。

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