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「プロフェッショナル 仕事の流儀」出演を振り返る

2007年12月22日 20時37分更新

文● 石井裕(MITメディア・ラボ教授)



番組に込めたメッセージ


 ところで、私が出演したときのサブタイトルは「出過ぎた杭は誰にも打てない」だった。誰が初めてこの表現を使ったのかは定かでないが、私がずっと座右の銘にしてきた格言だ。金太郎飴の製造マシンのような評価システムの中で、平均に埋もれずに突出するためには、これがきわめて有効な指針となる。

 また、若い世代の人々に送るいくつかのメッセージをこの番組に盛り込むことができた。

 そのひとつ目は、研究者にとって「オリジナルであることが命」だということ。後追いの研究や改良型の研究には向かわずに、革新的な研究にのみエネルギーを傾注する。これが大切な戦略だ。

 2つ目は、徹底的に「なぜ?」という問いを発して研究の本質に迫ることだ。何度も何度も浴びせられる「なぜ?」という問いにしっかりと答えていくうち、アイデアが磨かれて人は成長する。

 3つ目は人いち倍の努力。平均的な研究者の2倍働き、3倍の成果を出して初めて対等にみてもらえる。これが競争社会の厳しい現実だ。私の場合、プライドと屈辱感がその原動力になっている。屈辱感を前に向けて走り続けるエネルギーに変換することが、過酷な競争を生き抜くカギだと思うのだ。

 この番組を見て、より多くの知的飢餓感を持った若者が、MITの門をたたいてくれることを期待したい。

(MacPeople 2007年5月号より転載)


筆者紹介─石井裕


著者近影

米マサチューセッツ工科大学メディア・ラボ教授。人とデジタル情報、物理環境のシームレスなインターフェースを探求する「Tangible Media Group」を設立・指導するとともに、学内最大のコンソーシアム「Things That Think」の共同ディレクターを務める。'01年には日本人として初めてメディア・ラボの「テニュア」を取得。'06年「CHI Academy」選出。「人生の9割が詰まった」というPowerBook G4を片手に、世界中をエネルギッシュに飛び回る。



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