このページの本文へ

2007年12月21日 21時21分更新

VPN導入事例のここに注目!

アウトソーシング活用のすすめ

第3回 ルンキーメタルジャパンの導入事例で見る「Group-VPN」導入の必然性

文●ネットワークマガジン編集長 大谷イビサ

モールドベースメーカーのルンキーメタルジャパンが導入したNTTコミュニケーションズの「Group-VPN」。本社と工場をつなぐというオーソドックスな利用方法ながら、「VPNストレージ」や「OCNホスティングサービス」など、アプリケーションのアウトソーシングメニューを積極的に活用している点がもっとも注目される。

Group-VPNの活用事例はこちら >>


中小企業のアウトソーシングに対する考え方


 昨今、通信サービスはアウトソーシング指向が進んでいる。ブロードバンド回線が整備され、サービスが多様化したことが大きな要因と考えられる。最初は、通信事業者が所有する回線を契約ユーザーのみ利用できるよう、通信事業者は回線部分のみ管理と保守を行なうという専用線サービスが登場した。近年では、ユーザーは回線の保守や通信機器の管理、セキュリティの確保までを外部の事業者に委託し、サーバやディスクスペースを、通信事業者やISPからレンタルするケースが増えている。それどころか、もはや自身でITシステム自体を持たずインターネット上ではSaaS(Software as a Service)と呼ばれるサービスにより、アプリケーションからデータベースまでネットワーク経由で利用することも可能になってきた。このように、多種・多様な通信サービスが登場し、企業規模に関わらずニーズに合わせたサービスを選択できる時代へと移行してきた。

 だが、アウトソーシングサービスの種類や品質は高まっているのに、ユーザーがそのメリットになかなか気づかないという現状もある。本来、アウトソーシングサービスというと、知識や経験を持った管理者を雇えない中小企業などがターゲットとされているが、実際はアウトソーシングのコストメリットを理解した上で、ITにかかるコストの大幅な削減を見込む大企業の導入が多い。前述したSaaSにいち早く飛びついたのも実は大企業だった。一方、本来のターゲットであるはずの中小企業では、そもそも兼業でITシステムを担当していることも多い上、アウトソーシングサービスのメリットになかなか気が付かないケースも多い。運用管理コストにあまり目がいかなかったり、そもそも企業の情報を外部の事業者に委託することへの抵抗感もある。この結果、自前でITシステムを導入し、運用管理に大きな手間をかけることになってしまう。

 代表的なのが、インターネットVPNである。インターネット網上にVPNを構築する場合、必要なのはブロードバンド回線とVPNルータのみだ。VPN対応のルータは、概して安価で提供されているため、導入コストは既存のWANサービスに比べてはるかに安い。パケットが暗号化されているため、セキュリティも高い。まさにいいことずくめのように見える。しかし、実際はそれほど簡単ではない。高度なセキュリティ技術の集合体であるインターネットVPNは設定も複雑だし、障害発生時の対応も大変だ。結果として、運用管理のコストがかえって高くつくことになる。


インターネットVPNからマネージドVPNへの移行


 今回紹介したルンキーメタルジャパンは、東京本社と群馬にあるWANをオープンなインターネットVPNから閉域型VPNである「Group-VPN」に移行した事例である。単にVPNを移しただけではなく、オプションである「VPNストレージ」や「OCNホスティングサービス」を導入することで、積極的なアウトソーシング活用を図っているのが特徴だ。この背景には、ルンキーメタルジャパンの置かれたビジネス環境が密接に関係している。

 通常、外資系の企業が日本でビジネス展開を進めるにあたっては、本国から割り当てられた予算に優先度を付けて投資する必要がある。たとえば、コンシューマ製品の小売であれば、本国での知名度を武器にTVCMや雑誌媒体などに大量の宣伝広告費を使うだろうし、間接販売を軸にするのであれば、パートナー開拓や教育、関係性の強化などに予算を割くだろう。世界各国に顧客を持つルンキーメタルグループの場合、日本進出の目的の1つとして生産品質に厳しい日本で販売することにより、中国製品のイメージを向上させる目的があった。このため、本国で生産されたモールドベースを日本の顧客に使いやすいように組み立てたり、カスタマイズする生産分野に多くの投資を振り向けた。裏を返せば、それ以外の投資は、優先度は下がってしまったわけだ。

 こうした状況の中、「Group-VPN」をはじめとするアウトソーシング重視のサービス選択はきわめて適切といえるだろう。「Group-VPN」の場合、導入は設定済みのルータを拠点において、回線に接続するだけ。機器の申し込みから障害対策までを一括でアウトソーシングでき、故障時の対応もセンドバックからオンサイトまで保守メニューを選択できる。また、「OCNホスティングサービス」に関しても、迷惑メール対策などの点で多大なメリットを受けたという。VPNサービスの充実ぶりはもちろん、組み合わせられるオプション等も今後のサービス選びで重要になってくるところだ。


ストレージを外部に置くメリット


 特にNTTコミュニケーションズの「VPNストレージ」は、VPNの持つセキュリティとファイルサーバの使い勝手を同時に満たしたサービスとして注目される。

 ファイルサーバは、社内での情報共有ツールとしてLANに設置されることが多い。ファイルサーバやNASなどは、基本的にはフォルダを共有設定すれば使えるが、企業として情報管理を考えればこれでは心許ない。きちんと使おうとすると、ユーザーやフォルダごとにアクセス権限やバックアップなどのデータ保護、さらにセキュリティ対策まで施す必要があるだろう。もちろん、こうした運用管理にかかる手間はなかなか認知されない。

 これに対して「VPNストレージ」は、VPNを介して、NTTコミュニケーションズ側に設置されたファイルサーバを共用するというものだ。遠隔の拠点同士でのオンラインストレージの多くはインターネット経由で提供されている。その点、「VPNストレージ」は閉域網で利用できるため、セキュリティの面でも安心だ。また、ユーザーごとのアクセス権を設定でき、接続ユーザーや日時などのアクセスログも収集できる。さらに1日1回のバックアップを行ない、3日分の保存を行なう。

 実際の活用を見ると、自社で持っているファイルサーバのバックアップや、他社とのファイルの交換に用いられているという。VPNという安全なネットワークにより、既存のストレージに高い利用価値を追加しているのだ。

 このように「VPNストレージ」を見ると、実はユーザー自身がLAN内で運用するファイルサーバよりも安全で、信頼性や拡張性などのレベルも概して高いことがわかる。遠隔の拠点間でファイルを共有でき、さらに自前で構築した場合よりも運用管理が優れているのであれば、利用した方がよい。


まとめ


 ITのシステムすべてにおいて自社構築が最適と考えているユーザーはもはや多くないと思われるが、もちろんアウトソーシングに踏み切れない理由もわかる。昨今は個人情報保護法の影響で情報管理に気を遣う必要があり、外注先での情報漏えいなどの事件も起こっている。しかし、運用管理のコストや手間を減らし、本業のオペレーションの質を上げるのであれば、なんらかのアウトソーシングは必要だ。

 たとえば、ホームセキュリティの分野を見て欲しい。監視カメラを玄関に設置したところで、それをチェックする人がいなければ、心理的なメリットしかない。しかし、こうした監視カメラのチェックをプロに委託すれば、窃盗や強盗などに起こるリスク自体を大きく減らすことが可能だ。

 もちろん、自前で行なったほうがコストや品質の面でよい部分もあるため、最適なブレンドを考えるのが今後重要になってくる。VPN選びも、今後は「ここまでアウトソーシングしてみる」という線引きも重要になってくるだろう。

VPNストレージのシステム構成と機能
VPNストレージのシステム構成と機能(画像クリックで拡大)

Group-VPNの活用事例はこちら >>

協力:NTTコミュニケーションズ株式会社

この記事の感想をお寄せください。図書カードがあたるアンケートはこちらから >>


[an error occurred while processing this directive]