手に取っての感覚も、外観と同様に初代GR DIGITALそのものだが、使ってみると起動やAFなどが高速化し、従来機の「ややもったり」した印象がなくなったことに気付く。操作の上での大きな変更点が、背面のADJ機能がダイヤルからレバー方式になった点だが、押し込んでADJメニューを表示させ、そのままレバーを左右に倒して項目を選択、カーソルやシャッターボタン前の電子ダイヤルで項目内設定を指定というインターフェイス自体は「Caplio GX100」(関連記事3)でも採用されている。デジタルカメラの操作系において、カーソルキーに加えてもう1系統の方向入力機能を備えるのは各社がそれぞれに模索しているところであり、同社でもGR DIGITALのダイヤル、GR2やGX100のレバー、「Caplio R7」(関連記事4)のジョイスティックと3種類があるわけだが、カチカチと実際に回転させるダイヤルに比べてレバー方式だといかにもデジタルカメラ的な印象があるのはやや残念だ。
画像に関してはやはり“GR DIGITALならでは”という印象で、彩度強調による鮮やかさというよりも、深く濃く表現される発色とコントラストが強めに出る傾向は同社デジタルカメラに共通するものだ。新画像処理エンジンによるノイズ低減もしっかりと効いており、以前ならばざらついていたISO 400レベルもかなり滑らかとなっている。最近の高感度/低ノイズを謳う製品群と比べればまだざらつきが感じられ、特にカラーノイズが目立ってはいるが、ノイズ低減処理によって被写体の輪郭ががたついてしまうよりはノイズはノイズとして残しておいて、必要に応じてパソコン上でレタッチするなどしたほうがいいのも確かだろう。
光学式手ぶれ補正や顔検出、高感度や高倍率ズームなど、コンパクトデジタルカメラは多彩な機能を盛り込んできている。とくに広角28mmクラスを謳う普及製品も増えたのはありがたいが、やはりコンパクトデジタルカメラにとって周辺まできちんと描写する広角レンズの搭載は難しい。GR、GR2は28mm単焦点というシンプルかつ描写力に専念したレンズを搭載しているだけあって、周辺部の描写もコンパクトデジタルカメラとは思えないほどだ。もちろん写りだけならば一眼レフ機、もしくは大径レンズ搭載のハイエンド機なども選択肢にあるだろうが、いわゆる“スリムデジカメ”といっても差支えないほどの薄型ボディにもかかわらず高画質を実現していること自体がデジタルカメラの中では貴重な存在と言えるだろう。
GR DIGITAL IIの主なスペック | |
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製品名 | GR DIGITAL II |
撮像素子 | 1/1.75インチ有効1001万(総1030万)画素CCD |
レンズ | 単焦点f=5.9mm(35mmフィルムカメラ換算時:28mm)、F2.4 |
静止画撮影 | 最大3648×2736ドット |
ISO感度 | オート、高感度オート、ISO 80/100/200/400/800/1600 |
動画撮影 | 640×480ドット、15/30fps、MotionJPEG圧縮QuickTime形式 |
液晶ディスプレー | 2.7インチ透過型アモルファスシリコンTFT、約23万画素 |
記録メディア | 内蔵約54MBフラッシュメモリー&SDカード(SDHC対応)/MMC |
インターフェース | USB 2.0(Hi-Speed対応)、AV出力、DC入力(ACアダプターはオプション) |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(DB60)、単4形乾電池×2 |
撮影可能枚数 | 約370枚(リチウムイオン充電池)、約45枚(単4形アルカリ乾電池) |
本体サイズ | 幅107.0×奥行き25.0×高さ58.0mm |
重さ | 約168g(本体のみ)/約198g(装備重量) |