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松岡美樹の“深読みインターネット” ― 第2回

「ブクマ・ジャーナリズム」はマスコミを屈服させるか?(後編)

2007年11月22日 20時00分更新

文● 松岡美樹 イラスト●さとうゆり

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ネット上の出来事やブーム、コンテンツなどを深読みする本連載。第1回に続いて、CGMとマスメディアの関係性について考えてみる。

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 前編で解説したように、取材し原稿を書く人間は相手の様子や話の流れを勘案し、聞いた話を複合的に判断している。また彼らは読者よりニュースソースに近い位置におり、当然多くの副次的な情報もつかんでいる。

 だがやっかいなことに、ニュースソースに近いこと、余分な情報をもっていることが裏目に出るケースもある。例えば取材される側と親しければ、ナアナアの原稿になる可能性が生まれる。また副次的な情報に惑わされ、深読みしすぎてまちがえるケースもありえる。情報の多さが逆に、悪い意味での予断を生むのだ。



取材者より客観的な目をもつブックマーカー


 一方、コメントをつけるブックマーカーは余計なことは知らない。書かれているものを読み、きわめてシンプルに審判を下すだけだ。ある意味、筆者より客観的に記事を見られる。すると前編の冒頭にあげたような、鋭いブクマ・コメントが出来上がることになる。再掲しよう。

「紙面の都合で載せられない記事でスタートする新聞のウェブ化」

 取材現場にいた私とは正反対の見方だ。私は現場の話の流れを知っているから、総合的に考えてポジティブに解釈した。このブクマ・コメントみたいに、ある意味シャープに斬って捨てなかった。

 これはどっちがいい悪いの問題じゃない。視点のちがいだ。そして私はブクマ・コメントをもらったおかげで、「こういう見方もあるんじゃないの?」と別の角度から異なる断面を見ることができた。非常にエキサイティングな体験である。

 読み手のコメントは、私にはない発想やものの見方を提示してくれる。そんなプレゼントをもらうたび、私は頭をドツかれ目が覚める思いがする。



あなたは「報道真理教」に毒されてないか?


 さてここで思うのだ。大胆に言おう。「取材ってホントに必要なの?」と。例えばブログをあちこち散歩していると、こんな自嘲をよく目にする。

「僕らはマスコミを批判するけど、しょせん自分で情報を取ってきてるわけじゃない」

「マスコミがニュース(材料)を提供してくれなきゃ、僕らはそもそも批判しようがない。結局、僕らはマスコミに勝てないんだ」

 勝ち負けの問題なのかはさておき、これはある意味、報道真理教に侵された考え方だと思う。

 もちろん報道機関が「足でかせげ」、「現場を見ろ」というのは当然だ。だけど読み手が同じ土俵に上がる必然性はあるんだろうか? ちなみに前述の物言いを発展させればこうなる。

「読み手は報道機関と同じように全国へ記者を配置し、取材し、マスコミの流す情報や分析が正しいかどうか、すべてウラを取るべきだ。それをして初めて僕らはマスコミを批判できるんだ」

 んなこたないだろう、と思う。魚を食べるとき、わざわざ自分で釣ってこなきゃいけないなんて法はない。ふつうは魚屋さんで買うだろう。そこは分業でいいのだ。魚を自分で釣ってないからオレは生きる資格がない、とか、やっぱり魚屋には勝てない、なんて思う人はいない。

 問題はその先だ。食べてみて「どう思うか?」なのである。

 もとになる情報はマスコミ経由でも、前編であげたように書き手の気づかないポイントを指摘した時点で価値がある。すでに文章化された情報からでも、多くのことが読み取れるのだ。

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