このページの本文へ

40年で最大の変革――インテル、45nm世代のCPU「クアッドコアXeon」「Core 2 Extreme」を発表!

2007年11月13日 16時49分更新

文● 編集部 小西利明

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
「クアッドコア Xeon 5400番台」(Harpertown)

いよいよ正式に登場した45nmプロセス世代のCPU「クアッドコア Xeon 5400番台」(Harpertown)

 インテル(株)は13日、45nm製造プロセスを使用した初めてのCPU「インテル Xeon プロセッサー 5400/5200番台」と「インテル Core 2 Extreme プロセッサー QX9650」など16種類を一斉に発表した。新しいトランジスタ技術の導入により消費電力を維持しながら、新命令の追加などにより従来品を上回る性能を誇る。

 なお、搭載製品がすでに発表されているほか、秋葉原のパーツショップではCPU単体の販売も12日に開始されている(関連記事1)。発表されたCPUの一覧は記事の末尾にまとめた。

Core 2 Extreme QX9650を搭載するエプソンダイレクトの「Endeavor Pro4300」

発表会場では、各社から発表されたばかりの新CPU搭載機が多数出展されていた。写真はCore 2 Extreme QX9650を搭載するエプソンダイレクト(株)の「Endeavor Pro4300」

クアッドコア/デュアルコアXeonを搭載するサーバー製品も多数出展

クアッドコア/デュアルコアXeonを搭載するサーバー製品も多数出展されている。消費電力の低さを生かしたブレードタイプも多い

 同日、東京都内で開催された新製品発表会では、インテル(株)代表取締役共同社長の吉田和正氏らにより、45nmプロセス世代の利点の説明や、新しいXeon/Core 2 Extremeの特徴とパフォーマンスデモなどが披露された。

吉田和正氏

両手に新CPUを掲げたインテル 代表取締役共同社長の吉田和正氏

及川芳雄氏

Penrynのウエハーを手に45nmプロセス世代について説明するインテル技術本部 本部長の及川芳雄氏

 Coreマイクロ・アーキテクチャーを採用する45nmプロセス世代のCPUは、「Penryn」(ペリン)のコードネームで呼ばれていたもの。パソコン向けとサーバー&ワークステーション向けでそれぞれ個別のコードネームを持ち、今回発表されたCPUは、サーバー&ワークステーション向けの「クアッドコア Xeon 5400番台」がHarpertown(ハーパータウン)、デュアルコア Xeon 5200番台がWolfdale(ウルフデール)、Core 2 Extreme QX9650がYorkfield(ヨークフィールド)と呼ばれている。

 吉田氏は冒頭の挨拶でPenryn世代のCPUについて、インテルの創設者のひとりであるゴードン・ムーア(Gordon E. Moore)氏の言葉を引用し、「この40年間で(トランジスターにおける)最大の進歩」を遂げた技術が使われていると述べた。その特徴については第一に「高性能で電気を使わない」点にあるとして、High-K(高誘電率)ゲート酸化膜や金属ゲート素材など、トランジスター技術の進化が消費電力当たりの性能向上に大きく寄与していることを挙げた。また、インテル自体が“環境に優しい製品”の提供を重視していることにも触れ、Penryn世代のように電力効率の高いCPUを提供することで社会に貢献したいという姿勢を示した。

製造プロセスとコアアーキテクチャーを交互に進化させる「チクタクモデル」

製造プロセスとコアアーキテクチャーを1年ごとに交互に進化させる「チクタクモデル」の図。45nm世代は次の“チク”に当たる

45nmプロセスで使われる新しいトランジスター技術の特徴

45nmプロセスで使われる新しいトランジスター技術の特徴。ゲートと絶縁膜に新しい素材を導入したことで、クロック周波数に影響するスイッチング速度向上と、消費電力を左右するリーク電流の大幅低減を実現する

 45nm世代への移行も迅速に進める。技術面について説明した同社技術本部 本部長の及川芳雄氏は、現行の2工場に加えて2008年中に2つの工場を45nm世代に以降させることで、2008年第3四半期には現行の65nmプロセス世代のCPUと出荷数量で逆転するという見通しを示した。


消費電力は減って性能は向上

Penryn世代のCoreマイクロ・アーキテクチャーが備える特徴

Penryn世代のCoreマイクロ・アーキテクチャーが備える特徴。基本的にはマイナーチェンジだが、新命令などによる浮動小数点演算性能の強化が目を引く

 Penryn世代のCPUは製造プロセスだけでなく、Xeon/Core 2 Extreme共に共通の特徴を備えている。既存のCore 2 Duoなどと同じCoreマイクロ・アーキテクチャーのCPUコアを備えているが、アーキテクチャーの改良でさらなる性能向上を実現する。その分かりやすい例が新しい47種類の命令セット「SSE4」の追加で、特にビデオエンコード/トランスコードのような処理に威力を発揮するとしている。発表会で披露されたCore 2 Extreme QX9650デモでは、既存のCore 2 Extreme QX6700(2.66GHz)とのビデオトランスコード処理の処理時間を比較して見せ、80%近い性能向上を実証してみせた。

従来のCPUとの性能比較デモ

従来のCPUとの性能比較デモ。右のQX9650のトランスコード処理が終わった時点では、まだQX6700は半分程度しか終わっていなかった

CPUがピーク状態の計測で、右のQX9650の方が高速にも関わらず、40W以上も低消費電力で済んでいる

システム全体の消費電力を比較している様子。CPUがピーク状態の計測で、右のQX9650の方が高速にも関わらず、40W以上も低消費電力で済んでいる。処理時間の短縮も合わせれば、トータルでの消費電力削減効果は大きい

 また、消費電力についてもシステム全体で比較し、アイドル状態で13W程度、CPUがフル稼働状態では40W以上もCore 2 Extreme QX9650の方が低い様子が示された。

 そのほかにも新CPUの特徴としては、従来比で1.5倍の12MB大容量2次キャッシュ搭載(クアッドコアの場合。デュアルコアは6MB)、割り算命令を高速化する「Radix-16 Divider」の実装、仮想化技術「拡張版インテル バーチャライゼーション・テクノロジー」の対応などが挙げられている。また、エクストリームセグメント向けのCore 2 Extreme QX9650はオーバークロック用途向けに、“オーバースピードプロテクション”を外した、いわゆる“倍率可変”CPUとなっている。なお、QX9650の詳細とパフォーマンスについては、関連記事2を参照のこと。

クアッドコアXeon 5400番台の特徴

クアッドコアXeon 5400番台の特徴

既存のXeonとXeon 5400番台の性能/消費電力比較

既存のXeonとXeon 5400番台の性能/消費電力比較。同一の消費電力で38%近い性能向上を実現

Core 2 Extreme QX9650の特徴

Core 2 Extreme QX9650の特徴。オーバークロック向け機能を備える点がExtremeらしい特徴

SSE4対応アプリケーションを使った場合のエンコード処理時間比較

SSE4対応アプリケーションを使った場合のエンコード処理時間の比較グラフ。1.5倍前後の性能向上を実現としている

 今回発表されたCPUは、サーバー&ワークステーション向けにエクストリーム向けと、一般消費者が直接手にするCPUではない。しかし2008年の第1四半期には、Penryn世代のデスクトップパソコン向けクアッドコア/デュアルコア Core 2 Duoプロセッサーと、ノートパソコン向けCore 2 Extreme/Core 2 Duoプロセッサーが出荷されると発表された。2008年中にはサーバーからノートまで、すべてのセグメントに45nm世代のCPUが投入されるということだ。

2008年早々には、デスクトップ/ノートもそれぞれ45nm世代に移行する

2008年早々には、デスクトップ/ノートもそれぞれ45nm世代に移行する。パフォーマンス向上やバッテリー駆動時間延長に期待したい


発表されたCPUの一覧

 発表された16種類のCPUは以下のとおり。価格はすべて1000個受注時の1個当たりの価格である。なお、クアッドコアXeonにはプロセッサーナンバーの数字に同じものがあるが、ナンバーの先頭が“X”の場合TDP 120~150W、“E”の場合80Wとなっている。

インテル Core 2 Extreme プロセッサー QX9650
コア数:4|クロック周波数:3GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:130W
価格:11万7640円|量産出荷中

クアッドコア インテル Xeon プロセッサー X5482
コア数:4|クロック周波数:3.20GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1600MHz|TDP:150W
価格:15万610円|45日以内に出荷予定
クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5472
コア数:4|クロック周波数:3GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1600MHz|TDP:80W
価格:12万350円|45日以内に出荷予定
クアッドコア インテル Xeon プロセッサー X5472
コア数:4|クロック周波数:3GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1600MHz|TDP:120W
価格:11万2810円|量産出荷中
クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5462
コア数:4|クロック周波数:2.80GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1600MHz|TDP:80W
価格:9万3850円|量産出荷中
クアッドコア インテル Xeon プロセッサー X5460
コア数:4|クロック周波数:3.16GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:120W
価格:13万8010円|量産出荷中
クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5450
コア数:4|クロック周波数:3GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:80W
価格:10万7750円|量産出荷中
クアッドコア インテル Xeon プロセッサー X5450
コア数:4|クロック周波数:3GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:120W
価格:10万210円|量産出荷中
クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5440
コア数:4|クロック周波数:2.83GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:80W
価格:8万1250円|量産出荷中
クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5430
コア数:4|クロック周波数:2.66GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:80W
価格:5万3580円|量産出荷中
クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5420
コア数:4|クロック周波数:2.50GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:80W
価格:3万7210円|量産出荷中
クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5410
コア数:4|クロック周波数:2.33GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:80W
価格:3万150円|量産出荷中
クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5405
コア数:4|クロック周波数:2GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:80W
価格:2万4610円|量産出荷中

デュアルコア インテル Xeon プロセッサー X5272
コア数:2|クロック周波数:3.40GHz|2次キャッシュ:6MB|システムバス:1600MHz|TDP:80W
価格:13万8010円|45日以内に出荷予定
デュアルコア インテル Xeon プロセッサー X5260
コア数:2|クロック周波数:3.33GHz|2次キャッシュ:6MB|システムバス:1333MHz|TDP:80W
価格:10万210円|45日以内に出荷予定
デュアルコア インテル Xeon プロセッサー E5205
コア数:2|クロック周波数:1.86GHz|2次キャッシュ:6MB|システムバス:1066MHz|TDP:65W
価格:2万840円|45日以内に出荷予定

■関連サイト

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン