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メニューとショートカット

2007年11月11日 22時23分更新

文● 柴田文彦

メニューの変遷とさまざまな機能

 Macのメニューバーには、大別して個々のアプリケーションが使うメニューと、システムレベルで備えている共通のメニューがある。これに関しては、初代のMacから現在のOS Xまで一貫した特徴だ。

 前者には、「ファイル」や「編集」といった一般的なメニューがある。後者のシステムレベルのメニューの代表は、言うまでもなく「アップル」メニューだ。これは会社のトレードマークをそのままメニューのタイトルにしてしまったことが示しているように、Macを象徴するメニューであり、初期から今日までのOSの変遷の中で、常にその時代の特徴を反映して変化してきた。

 初期の「アップル」メニューの役割は、もっぱら「デスクアクセサリ」(DA)を起動するためのものだった。DAは今日のDashboardウィジェットに相当するミニアプリケーションだ。そのうちに「アップル」メニューの役割は拡大し、設定項目別に分かれたコントロールパネルを選択したり、よく使うソフトを登録して起動できる機能も加わった。当初からあったアプリケーションランチャーとしての機能が強化され、今日のDockにも通じる機能を取り込んでいったのだ。

 現在の「アップル」メニューは、むしろ従来に比べてシンプルになっており、本来のシステムメニューとしての役割を果たしている。Windowsも95以降では、一般的に見てMacの影響が強くなっており、Macの「アップル」メニューに対抗するように設けられたのが「スタート」メニューだ。「アップル」メニュー以上に、ランチャーとしての機能を充実させている。ここでもWindowsの基本的な設計思想に忠実に、見た目や使いやすさよりも、論理的であることを重視して設計したように思われる。メニューはあくまで論理的に階層化され、インストールされているソフトは「プログラム」という1段目のサブメニューを起点として、3段も4段も階層をたどったところにあるものが多い。こうした律儀さゆえの操作性の悪さを解消していくことが、95以降のWindowsの大きな課題となったと言える。

 「スタート」メニューに限らず、一般にメニューには、選択可能なものをすべてその場に開示するという、基本的な特徴がある。そのため、メニューから選べる機能が豊富になり、選択肢が増えれば、メニューの項目の数が増え、選択操作が面倒になるのは避けられない。メニューの階層化は、メニューが占める面積をむやみに増やさないための1つの手段だが、選択肢が増えたことによる選択操作の手間を軽減するものではない。そこで最近ではメニューに頼らないさまざまな機能の選択手段が開発されている。古くからウェブブラウザーの「Opera」が採用しているマウスの動きによるジェスチャーもその1つ。メニューやツールバーのボタン操作をマウスの動きで代用できる。最近では、iPhoneが採用した指の動きによるジェスチャー操作がある。

 Windowsでは、「スタート」メニューの中の項目に対して、右ボタンによる操作を可能にするなど階層化とはまた異なったメニューの多機能化が見られる。またWindows Vistaでは、メニューバーそのものを表示しないことを標準として、メニュー離れを狙っている。ただし、そのために別形態のメニューの使用が避けられないなど、脱メニューの試みは試行錯誤の域を出ていない。

Mac OS

Mac vs Win
初代のMacからあった「アップル」メニューは、ある意味最もMacらしいメニュー。最初期は、今で言えばウィジェットを選択するメニューだった
Mac vs WinSystem 7.5の時代になると、「アップル」メニューは、ランチャーとしての機能を強化していく。中でも、今で言う「システム環境設定」の選択機能は重要だった
Mac vs Winメニューに頼らない機能の選択方法もいろいろ試みられている。「Opera」のジェスチャーは、ウェブページのブラウジング操作をマウスだけでこなす実用性の高いもの
Mac vs WiniPhoneは、指先の操作で機能をダイレクトに呼び出すことに重点を置いたインターフェース設計を多く採用した。「直感的」という点では現在のMacを超えているだろう

Windows

Mac vs Win
Windows 95以降に装備された「スタート」メニューからは、Windowsのすべての機能にアクセスできると言っても過言ではない。メニューは激しく階層化され、理路整然と並んでいる
Mac vs Win
「スタート」メニューの中の項目は、右クリックすることで、一種のコンテキストメニューを開く。Macにはない特殊な操作方法だ
Mac vs Win
Vistaは、デフォルトではメニューバーを表示しない代わりに、選択肢を絞り込んだボタン状のメニューを備える。そこからメニューバーも表示できるなど、一貫性に欠けている

(MacPeople 2007年11月号より転載)


筆者紹介─柴田文彦


著者近影

MacPeopleをはじめとする各種コンピューター誌に、テクノロジーやプログラミング、ユーザビリティー関連の記事を寄稿するフリーライター。大手事務機器メーカーでの研究・開発職を経て1999年に独立。「Mac OS進化の系譜」(アスキー刊)、「レボリューション・イン・ザ・バレー」(オライリー・ジャパン刊)など著書・訳書も多い。また録音エンジニアとしても活動しており、バッハカンタータCDの制作にも携わっている。


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