シンビアン(株)は6日、2007年度 第3四半期(今年7月1日から9月30日まで)の業績を発表した。全世界でのスマートフォン需要の拡大により、同社OSを搭載したスマートフォンの第3四半期での出荷台数は、前年同期比56%増の2040万台となった。
同日開催された説明会では、英シンビアン(Symbian)社 CEOのナイジェル・クリフォード(Nigel Clifford)氏、調査研究担当取締役副社長のデビッド・ウッド(David Wood)氏、シンビアン日本法人 代表取締役社長の久 晴彦(ひさ はるひこ)氏らが出席し、第3四半期業績に関する説明や、日本市場での取り組みなどについて述べた。
2007年度 第3四半期は非常に好調
最初にクリフォード氏が登壇し、第3四半期の業績およびSymbian OSを取り巻く現状などについて説明した。第3四半期のハイライトでは、クリフォード氏は「非常に好調」と語った。Symbian OSを搭載したスマートフォンの出荷台数では、前年同期比56%増となる2040万台を出荷。これにより、第1四半期~第3四半期の出荷台数は5490万台となり、すでに前年通期の出荷台数5170万台を上回っている。
また、Symbian OSを搭載するスマートフォンの累計出荷台数は1億6500万台で、市販されているスマートフォンは全134機種となった。このうち、第3四半期で新たに出荷されたSymbian OS搭載スマートフォンは15機種にのぼった。
財務報告では、出荷台数の増加により売り上げ高は5240万ユーロ(約87億円)と、前年同期比30%増となっている。なお、1台あたりの平均ロイヤリティーが、5.2ドル(約600円)から4.8ドル(約550円)へと下がっているが、これは「普及台数を増やす戦略へと転換したため」という。
マーケットリーダーとしての地位を保持
次に、Symbian OSが搭載された携帯電話機の現状について説明した。クリフォード氏は、スマートフォンの販売台数から見て、「割合としては、10台中7台がSymbian OSを採用している」と述べた。また、スマートフォン以外にも(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモのFOMA携帯電話機において、「65%以上の機種にSymbian OSが採用されている」と説明。依然として「マーケットリーダーとしての地位を保持している」と語った。
国内では搭載端末がまもなく3000万台を突破
続いてシンビアン日本法人 代表取締役の久氏が登壇し、日本での展開について説明した。久氏はまず、まもなく国内でSymbian OSを搭載した端末が累計3000万台、64機種を突破すると述べた。3000万台突破までの道のりについて、「まず1000万台を突破するまでに3年かかり、次に2000万台を突破するまでには1年、3000万台へは半年ほどで突破できた」と語り、順調に推移していることを示した。
また、販売台数が順調に推移している理由として、NTTドコモをプラットフォームに選んだこと、PDCからFOMAへの切り替えが早く進んだこと、真面目にオペレーターやメーカーの要求に対処したことの3つを挙げた。
国内での来年度に向けての挑戦としては、「日本でどのケータイが使われているか」という点を踏まえて検討していく。また、「新しいサービスなどは、現在ではパソコンよりも先に携帯電話で採用されることが多く、特に日本での採用が早い」と述べ、「日本の市場を見ることで将来の世界的な動向を見ることができる」と説明した。その上で「日本のメーカーが海外にも出て戦えるようにサポートしていく」と語った。
Googleの携帯電話プラットフォームについては
会見後の質疑応答にて、同日発表された米グーグル(Google)社の携帯電話プラットフォーム(関連記事)について、クリフォード氏による見解が語られた。「Googleプラットフォームは、Linuxをベースとしているが、Linuxのものは数多くある。Linuxでは統合されるよりも早くバラバラになるだろう」と述べた。しかし、グーグルが提唱するオープンソースへの考え方は「我々と一致するものである」と語った。