(株)ナナオが1日に発表したフルハイビジョン液晶テレビ「EIZO FORIS.HD」(関連記事)について、同社は同日、都内で記者発表会を開催した。その中で同社のデザインディレクターを担当している川崎和男氏が、FORIS.HDのデザインコンセプトについて語った。
川崎氏は「(FORIS.TV開発の)当初“FORIS”という名前が決まってから“.TV”とつけました。その直後にアップルは@の後にTVをつけました。」と述べ、「次のドットなんとかが必ず現れる」と考えていたという。一方、テレビメーカーは「ハイビジョン」という言葉を、テレビブランドと併記することが多く、今回「FORIS」に「.HD」という言葉をプラスして新たなブランドとして立ち上げたという。
ちなみに同社のブランドネームである「EIZO」については、「我々が最初に出したのは“うつす”という言葉」だったとした。“うつす”には、物を移動することや、時や文化のうつろい、撮影をするといった意味合いがあるが、それらを全部引き受けるのが「映像」つまり「EIZOだ」とした。
同氏はまた「スケッチブックの周りは数式でいっぱい」とし、デザインを数学で考えていると述べた。その一端として、ヒンジ部のひし形デザインは「ピュタゴラスの定理」に沿って設計されていることを語った。
このヒンジ部にはスピーカーが内蔵されているが、同氏は音、特に「F0」(最低再生可能周波数)にはこだわったという。FORIS.TV並みのF0の値(80Hz程度)を達成するには2.8リッターのエンクロージャー(スピーカーの筐体)が必要だが、FORIS.TVでは350cc程度のスペースしか取れなかったという。そこで、パイプオルガンのF0の値を下げる仕組みを応用し、中低音域の音を机などに反射させつつ、高音域はストレートに再生させるように設計したのだという。
また、ヒンジ側面を「べんがら」をイメージした赤色にしたのは「あくまでも日本で作っていることを自慢したいし、日本の伝統を活かしたい」からだとした。
最後に、川崎氏は付属のリモコンについては完全には納得していない様子で、新しいリモコンを来年リリースする考えであることを明かした。