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「LinuxとWindowsの互換性を高めていく」――ターボリナックス、新OS「Turbolinux 11 Server」を発表

2007年10月31日 20時34分更新

文● アスキービジネス編集部

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ターボリナックスはLinuxサーバOSの新製品「Turbolinux 11 Server」を発売開始する。今後、同製品でマイクロソフト製品との機能連携の強化を図る。


企業のエッジ系サーバとして最適化を実現した新OS


 ターボリナックスは記者会見を実施し、3年ぶりのLinuxサーバOSの新製品「Turbolinux 11 Server」(以下、11 Server)を11月29日から提供開始することを発表した。

 代表取締役社長兼CEO 矢野広一氏は「Smart、Simple、Surpriseをコンセプトに、当社比で1.5倍の高速化を実現している。エントリーからミッドレンジのLinuxサーバとして、ある意味ターボリナックス社の集大成的製品となった」と自信を見せる。

ターボリナックス 代表取締役社長兼CEO 矢野広一氏

ターボリナックス 代表取締役社長兼CEO 矢野広一氏

ターボリナックス 代表取締役社長兼CEO 矢野広一氏

 今回、11 Serverの新機能としてサーバの負荷分散を実現するソフトウェアロードバランサー「Cluster LoadBalancer」と、PHPによるWebアプリケーション開発のプラットフォームを提供するZendのソリューション「Zend Core」を標準搭載している。

 事業推進本部 本部長 森陰政幸氏は「フロントエンドで利用されるエッジ系サーバにおいて、セキュリティ機能は非常に重要」と述べる。そこで、11 ServerはNTTデータが開発したLinuxカーネルにセキュリティ強化機能を加えた「TOMOYO Linux」を新たに搭載している。森陰氏は「Linuxはポリシーの設定が難しいが、TOMOYOにはプログラムのファイルへのアクセス履歴を自動的に収集する学習機能があり、ポリシーを簡単に生成できるという点も優れている」とその特徴を述べる。

ターボリナックス 事業推進本部 本部長 森陰政幸氏

ターボリナックス 事業推進本部 本部長 森陰政幸氏

ターボリナックス 事業推進本部 本部長 森陰政幸氏

 主要コンポーネントの追加機能としては、複数の処理を同時に実行するときにコンピューターで実行されるプロセスに公平にCPU時間を割り当てるプロセス・スケジューラ「CFS(Completely Fair Scheduler)」が搭載されている。また、キャッシュに収納したオブジェクトを管理する機能で、効率的にメモリ管理を行なう「SLUBアロケータ」も付加された。

 注目すべきは同社が10月23日に米マイクロソフトと協業契約を締結していることだ。協業の内容は「相互運用性の向上」「研究・開発分野における連携」「知的財産の保証」「デスクトップ分野における協調の拡大」を挙げており、矢野氏は会見でマイクロソフトとの提携の目的を以下のように語った。

「Linuxを導入する際にユーザー企業が不安に感じているのは、継続的なサポート体制の有無と、他社の知財権を侵害していないかどうか。前者に関してはLinux参入企業の増加により少しずつ解消されているが、後者に関しては多くの企業は目をつぶったまま。今回の提携により、当社は協業効果の高いマイクロソフト製品の知的財産が利用可能となった。Linuxをユーザーに安心して使っていただける環境を整えることができたと考えている」(矢野氏)。

 ターボリナックスは2008年春を目処にマイクロソフトとの共同検証体制を中国で展開する予定。将来的には11 Server上でシングルサインオンを実現し、WindowsとLinuxの両方のシステムにログインできるようにする。

 11 Serverの価格は4万9350円(税込)。「最近はLinuxの製品でもサブスクリプションライセンスが多いが、我々はこれまでと同じように使用許諾権を永久ライセンスとしている」(矢野氏)。通常メンテナンスやバグの修正、セキュリティ対応などのサポートは2011年の12月まで無償で提供し、その後は年間4万9350円(税込)の有償サポートに切り替わることになっている。

Turbolinux 11 Server

Turbolinux 11 Server

Turbolinux 11 Server

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