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【短期集中連載】新聞はネットに飲み込まれるか? 第4回

「紙はウェブより上」であるべきか? 毎日新聞が既成概念を破壊する日(後編)

2007年10月31日 19時00分更新

文● 松岡美樹

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地域密着型のミクロな情報をどんどん出す


 もうひとつのポイントはミクロな情報の吸い上げだ。毎日jpのトップページの下方には、北は北海道から南は九州・沖縄まで、地方ニュースのスペースが大きく取られている。トップページでこれだけ大々的に地方ニュースへの誘引を図るのは、新聞サイトではめずらしい。

 「ウェブ版の地域ニュースは記事の本数が豊富です。毎日新聞は東京本社を含めて北海道、名古屋、関西、九州の5本社体制ですが、それぞれの本社が『大盛りほっかいどう』『いりゃあせ名古屋』『めっちゃ関西』『オッショイ! 九州』という毎日jp上に置いた各サイトを主導的に作っています」(日比野氏)

 例えば「四国」ゾーンにある徳島のページを見てみよう。徳島には那賀川という川が流れている。その那賀川には「ナカちゃん」という愛称のアゴヒゲアザラシが住み着き、アイドルになっていた。

 すると徳島版のニュースの中では、ナカちゃんのために「曲を作りました」という地元女性の記事がふつうに出てくる。中央発の記事が中心になりがちなニュースの世界にあって、なかなかユニークな作りである。

 紙の紙面ではスペースに限りがある。とてもこんな細かい記事展開はできない。こうした地方ニュースの作り方は、リンクの向こう側に無限に関連ページを作れるウェブならではだ。デジタルメディア局編集・編成担当部長、高島信雄氏は言う。

 「今後はニュース記事以外にも、地元の人にとって有益な情報をどんどん入れていきたい。例えば、地元商店街の安売り情報などですね。ただ、やり方によってはいい加減な情報が混じってしまうので難しい面もあります。

 方法としては、読者に向けて『あなたたちが知っている情報をどんどん書き込んでください』というのがいちばん簡単です。ところが新聞社が掲載する以上は、正確な情報でなければならないわけです。かといって、それらのウラ取り取材を我々がすべてやるわけにもいかない。悪意で情報を書き込まれないとも限らないですし」

 なるほどこれはユーザー自身がコンテンツを作るCGMを新聞社が取り入れる場合の最大の悩みのひとつだろう。

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