このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

新インターフェイスを採用するコンパクトズーム機

【レビュー】初心者向け多機能機 キヤノン「PowerShot SX100 IS」

2007年10月24日 19時00分更新

文● 行正和義

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 「PowerShot SX100 IS」は、キヤノン(株)の従来モデル「Powershot G/S/A」シリーズのいずれにも属さない、まったく新しいモデルだ。最も近いのはSシリーズのコンパクト望遠機だが、「PowerShot S5 IS」(関連記事1)よりもさらにボディーを小型化するとともに、新しいインターフェイスを搭載するなどの試みがなされている。

マニュアル撮影へのこだわりがキヤノンらしさ

PowerShot SX100 IS

キヤノンのコンパクト望遠機の新シリーズ「PowerShot SX100 IS」

PowerShot S5 IS

コンパクト望遠機「PowerShot S5 IS」

 撮像素子に1/2.5インチ有効800万画素CCD、35mmフィルムカメラ換算で36~360mm相当の光学手ぶれ補正付き光学10倍ズームレンズという構成は、PowerShot S5 IS(有効800万画素、光学12倍ズーム)と似ている。ボディー右側にホールドしやすい大きめのグリップがあるなど、デザイン的にも共通するところはあるが、Sシリーズでは搭載している電子ビューファインダー(EVF)や、Aシリーズの光学ファインダー、背面液晶ディスプレーのバリアングル(可変アングル)機構は搭載していない。また、S/Aシリーズが単3形電池4本で駆動するのに対し、本機は単3形電池2本という電池構成を採用することにより、格段にコンパクトなボディーとなっているのが特徴だ。

前面

全体的に曲線で構成され、フラッシュ部は上に膨らんでいるほか前面にせり出している。レンズには電動シャッターも装備されているので、持ち歩きや撮影時にも気軽に扱える

背面

独特のボタン配置と特徴的なコントローラーホイールを採用する背面。液晶画面は撮影時のステータス表示でマニュアル露出モードを選択したところ。イージーダイレクトボタンにはLEDが内蔵され、「ISOブースター」(撮影環境に応じて一時的にISO感度を向上させる機能)をONにしておくと手ぶれしやすい明るさで点滅して知らせるのはほかの機種と同様だ

 ボディーカラーは写真のブラックのほかシルバーもあり、2モデルが用意される。ボディーの素材には樹脂が多用されているが、特にブラックモデルは銀色塗装のS/Aシリーズに比べて安っぽさが少ない。

PowerShot A650 IS

コンパクト機「PowerShot A650 IS」

 横幅ではS5 ISの117mm、PowerShot A650 IS関連記事2)の112.1mmと比べて108.7mmと、スペック的には大して変わらないが、厚みではS5 ISの77.7mm、A650 ISの56mmに対して46mmとかなりスリムに仕上がっている。電池が2本となってはいるものの、電池での撮影枚数はアルカリ乾電池で140枚、ニッケル水素充電池では400枚と、Aシリーズと比べても減っていない点は高く評価したい。

上面

グリップはさほど大きくはないものの持ちやすく、カチカチと硬めの回転などモードダイヤルの操作感もいい。上面のフラッシュ格納部に向けて曲面構成でせりあがる上面のラインなど、ややEOSシリーズにも似た印象を受ける

左右側面

右側面にはゴム蓋内にAV出力、USB、DC入力端子を備える。左側面にあるのは内部時計のメモリ保持用ボタン電池スロット

フラッシュ

フラッシュは自動ポップアップではなく指で引き上げる方式だが、不意のフラッシュ発光を防止する意味でもマニュアル機らしい。軍艦部のCANONのロゴレリーフがフラッシュを開けるときに指が滑らないようになっているのも細かい工夫

 コンパクトにもかかわらず、グリップ部はしっかりとしたふくらみがあり、かつレンズは鏡胴部を残して沈胴するタイプなので、撮影時に左手によるサポートも行なえるなど、ホールド性は非常にいい。レンズ鏡胴のリング部は、S/Aシリーズとよく似たデザインではあるものの取り外すことはできず、コンバージョンレンズにも対応していない。撮影機能はS/Aシリーズと同様にマニュアル露出、マニュアルフォーカスも可能となっている。特に絞りはF2.8~8.0まで10ステップと幅広い設定が可能で、マニュアル露出付きコンパクト機のなかには2~3ステップしか持たないモデルが多いなかでは、PowerShot Aシリーズ譲りのこだわりのスペックとなっている。



SX100の新機能、その1
カーソル入力を兼ねたリングダイヤルのインターフェース


コントローラーホイール

コントローラーホイールを再生時に回転させれば画像の送り/戻しをすばやく行える。GシリーズのコントローラーホイールやIXY DIGITALシリーズのタッチホイールと操作自体は同様だ

 従来のPowerShotシリーズと大きく異なるのは背面の操作部で、S/Aシリーズなどとは一線を画した、新しいインターフェイスが取り入れられている。ひとつはカーソルキー部にあるコントローラーホイールで、カーソルキーと電子ダイヤルの2つの機能を備えている。同社の「PowerShot Gシリーズ」でもカーソルキー周囲にリング状のダイヤルを設けることで各種の操作が行なえるようになっていたが、Gシリーズではカーソルキーとダイヤルが別々だったのに対して本機では完全に一体化しており、リングを回せばダイヤルとして、上下左右に押し込めばカーソルとして機能する。最近の「IXY DIGITALシリーズ」が採用するタッチホイールの操作では、物理的に回転する機構がない(ホイール上で指を滑らせる)ため操作にはやや慣れが必要だったが、コントローラーホイールならばだれでもすぐに使えるだろう。

PowerShot G9の背面

「PowerShot G9」の背面。カーソルキーの外側にダイヤルリングが配置されている

IXY DIGITAL 2000 ISの背面

「IXY DIGITAL 2000 IS」の背面。カーソルキーに指を載せて軽く押しながら、指先を回すと画面内のカーソルが移動するタッチホイールになっている

 特に露出補正やマニュアル露出撮影時の絞り/シャッター速度の指定の際に便利に使えるホイールだが、クルクル回しているうちに力の入れようによっては誤って押し込んでしまい、カーソル上下左右にアサインされているISO感度や連写モードなどの設定モードに不意に切り替わってしまうことがあるのが気になった。実機を試していて気づいたのだが、片手で本体を持ったままホイールを操作すると、カメラ自体を安定して保持するために親指に力が入ってしまい誤操作しやすいようだ。



SX100の新機能、その2
液晶パネル下の大型ボタン4つ


顔認識機能

顔認識機能を利用したところ。顔が複数認識したときは四角い顔認識カーソルの左右に三角の矢印アイコンが表示され、カーソル左右もしくはホイール回転でメインとする顔を選択することができる

 もうひとつの新しいインターフェースは、液晶ディスプレーの下側に並ぶ4つの大型ボタンだ。機能はイージーダイレクト/フェイスキャッチ(顔認識)/DISP/MENUと、機能自体は従来から大きく変更はない(フェイスキャッチ用ボタンが単独で用意されるのは新しい)のだが、カーソル周囲ではなく液晶ディスプレー下部というのが同社としては目新しい。とかくボタンが小さくなりがちな最近のコンパクト機の中で、これら4つは大きなボタンとなっているため非常に押しやすく、この配置によってカーソル周囲、特に右上の部分が空いて親指を掛けやすくなったのはかなり使いやすい。

電池室とメモリースロット

アルカリ乾電池2本で丸1日程度なら余裕で使えるというのも省電力の賜物と言える。グリップ部のレイアウトなど、Powershot Aシリーズをそのまま小さくした印象だ

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン