弥生が中小向け営業支援システムで情報系に参入、ASPビジネスにも再挑戦
弥生は10月23日、同社の基幹系ソフトと連携するASPサービス「弥生ワークス」を発表、12月10日から開始する。中小企業向けに機能を絞り込んだSFA(営業支援システム)としてスタートし、将来は全社で利用される情報系基盤を目指すという。
グループウェアとは違う“ワークウェア”を提唱、将来は全社的なERPに
「弥生会計」など、中小企業向けの業務アプリケーションで知られる弥生。今年20周年を迎えた同社が、12月10日から新分野へ参入する。始めるのは、「弥生ワークス」という情報共有サービスだ。
弥生ワークスは、既存の弥生シリーズと連動し、社内の情報共有による業務効率化を図るASPサービス。プロダクトマーケティング 担当部長の坂本尊志氏は、「単なる情報を共有するグループウェアではなく、より業務に密着して情報を活用する“ワークウェア”という新しいプラットフォームを提供する」と話す。これまでバックオフィスの基幹系を手がけてきた同社が、初めて提供するフロントオフィス・情報系のアプリケーションでもある。
12月から提供する「リリース1」では手始めに、営業職と管理職を対象とした日報ベースの営業支援機能を提供する。具体的には、弥生ワークス内で送受信できるメッセージ機能、予定表、課題管理、日報作成などの機能を持ち、これらが連携して動作する。たとえば、上長が業務指示をメッセージで送ると同時に、相手の課題リストに登録したり、業務完了後には課題リストを更新して営業日報に転記できる。上長は部下の課題リストや予定を確認し、業務の進捗状況を把握する。
中小企業向けに、使い勝手にこだわったのも特徴。ログイン後のホーム画面には予定や課題を表示し、その日やるべきことを確認できるようにしたほか、弥生シリーズで定評のあるクイックナビゲータ(日常業務の流れ順に機能アイコンを配置した画面)を備えた。「大企業向けの従来のSFAは、機能が豊富でリテラシの低いユーザーには操作が難しすぎた。弥生ワークスはあえて機能を絞り込み、まずは入力する習慣づけをしていただくことにフォーカスした」(坂本氏)。
既存の弥生シリーズとの連携にも対応する。リリース1では、「弥生販売」の顧客台帳を取り込んだり、逆に弥生ワークスで更新した顧客台帳のデータを販売に取り込むことが可能。さらにリリース2では、既存製品との連携を強化するほか、ワークフローなどの機能を追加する予定だ。機能追加に伴って、対象ユーザーも営業部員から全部門の社員へと拡大し、「2009年に予定されるリリース3では、中小企業に最適な統合型のERPに育てたい」(坂本氏)という。
弥生は過去にASPサービス「Web弥生会計」を提供していたが、いったん撤退している。坂本氏は「インフラを含めたコストの問題と企業側のマインドが当時とは変わってきている。そうした背景から改めてASPサービスに参入することにした」と話す。
新サービスの料金は初期費用が5万2500円、月額3150円/1ユーザー。最低利用ユーザー数は3ユーザーで、契約単位は6カ月から。「ルートセールス中心に10~30名の営業社員を抱える企業」(坂本氏)をメインに、当初は既存の弥生ユーザーから売り込んでいく。また、顧客向けのセミナーを積極的に展開し、マーケティング活動を通じた拡販に注力する。販売目標は今後1年間で600社。