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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第2回

紳士淑女もレッツ・スイング「F904i」

2007年10月25日 09時30分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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「ヨコモーション」という便利なギミック


 F904iは、2007年の夏モデルとしてこの4月に発表された端末である。とはいえGfK Japanなどの販売ランキング調査によると、ここ最近「らくらくホン」シリーズとともに1ヵ月上位に張り付いている状態で、いまだに人気を集めているようだ。

F904i

F904i。液晶ディスプレーを左右90度に傾けると、同時にメールやカメラなどのアプリケーションを起動できる「ヨコモーション」という機能を備えている

 この端末の魅力に迫るには、先代の「F903i」を振り返る必要がある。F903i、F904iは端末のディスプレー部分を左右に折り曲げられる「ヨコモーション」というギミックが特徴の端末であるが、これがカギだ。

F903i

F903i

 僕の後輩には、割とF903iを使う男前ユーザーが多い。彼らのF903iの使い方は特殊だった。

 ぼろぼろのスキニーなジーンズのオシリのポケットに、端末をかませるようにしまう。折りたたんでポケットにしまうと厚みがあって嫌なので、洗濯バサミのように折りたたみケータイでポケットを挟むのだ。メーカーの方が見たら目を覆いたくなる収納方法である。

 そしてカメラ撮影をする場面になったとき、端末をオシリのポケットから取り出して開き、そのままモモにたたきつける。「片手のワンアクションでカメラが起動するから便利。ヨコモーションは、今までのケータイの使い勝手を完全に変えた」とは、持ち主の談だ。

 なぜ男前がモモにたたきつけてスイング起動を使っていたかといえば、液晶ディスプレーのスイングが固過ぎたからだ。

 F903iの液晶ディスプレーは、もともと片手では動作できないし、横に回転させるには弱いながら力を継続的に加えなければならない。しかし、それでもスイングによる機能起動の突き抜けた便利さを生かしたい──。そんな彼が至った結論が、「モモにたたきつける」というアクションだった。



「男前」から「エレガント」に進化


 ところがF904iは違っていた。F903iが男前ケータイであるとすれば、F904iはフェミニンとメトロセクシャルのケータイとでも言うべきか。

 F904には4色のカラーバリエーションが出ていて、「champagne」(シャンパンゴールド)、「bordeaux」(ワインレッド)、「noir」(黒)、「blanche」(白)というラインアップだ。

 1ページ目のトップ写真のように、端末の金属っぽい加工が美しく、またシャンパンの泡を表すようなラメの吹きつけが小洒落ていて、女性のユーザーを楽しませてくれる。また「noir」と「blanche」は真っ黒と真っ白。スーツを着るビジネスユーザーにも合わせやすい。

F904i

F904iのヨコモーションは指を当てるだけで動作が始まり、AQUOSケータイのようなサイクロイド機構で左右にスイングする。端末を片手でもって親指で押し開けるような男前動作はやりにくいかも

 そして男前スイングは「エレガントスイング」へと進化している。F903iではあり得なかったことだが、ちょっと指を当てればスイングの動作が始まるのだ。これすなわち、モモでヒットしなくても、軽い力でスイングさせることが出来るようになったことを意味する。

 こうしてヨコモーションのターゲットは男前から女性にも広がり、紳士淑女がスイング起動を使えるようになった。まずはお手にとってスイングしてみてください。右はワンセグ、左はカメラ。スイングによる起動が病みつきになる頃には、ついつい小躍りが始まるはずだ。ケータイ売り場でスイングを楽しむ人が多発する。今回の「富士通ミラクル」はそんな洒落っ気がある奇跡だったのかもしれない。


筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について探求している。自身のブログはTAROSITE.NET



*次回は11月1日掲載予定



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