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「操作の心地よさを感じ取ってほしい」──ニコンD300の開発陣に聞く

2007年10月25日 09時00分更新

文● 編集部 小林 久、撮影●パシャ

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3D-トラッキングモードに関して


── 「気持ちよさ」へのこだわりを聞きました。これ以外のこだわりについても教えていただきたいのですが。

渡部 カタログや言葉で伝わりにくいという意味では、「3D-トラッキングモード」でフォーカスポイントが実際に動いていくというのがありますね。

檜垣 これはシーン認識技術のひとつで測光に利用する1005分割のRGBセンサーを応用したものです。今回の機種では色のにじみを減らすために回折格子も追加し、識別の精度を高めていますが、このセンサーを応用して、被写体の色、大きさを見て、同じ色の被写体を追尾し続ける機能も追加しています。シーン認識は、AFだけではなく、オートホワイトバランスやストロボ調光時の背景識別などにも応用しています。

── (ファインダーをのぞいて)若干遅れている感じですが、確かに被写体を追尾していますね。

中村 若干表示が遅れているかもしれませんが、実際は追尾できているんです。

── これはライブビュー時でも利用可能ですか?

檜垣 ライブビュー時には残念ながらミラーアップしてしまうため、3Dトラッキングは利用できないのですが、今後積極的にトライしていきたいとは思っています。コンパクト機では顔認識といった機能が当たり前になっていますが、一眼レフでも負けていられない部分です。D300の顔認識に関しては、1005分割のセンサーを利用して肌色の部分を見つけてそこにピントを合わせるといった処理を行なっています。



ライブビュー搭載はコントラストAFのため


── 話の出たライブビューに関してもう少し詳しく聞かせてください。

檜垣 ライブビューに関しては、コントラストAFを他社に先駆けて実現したかったんですね。そのためにはどうするべきかというのがスタートポイントとしてありました。今回ライブビューに2つのAFモードを設けてあり、そのうちの「三脚撮影モード」で、撮像素子を用いたコントラストAFが利用できるようになっています。

── コントラストAFをやりたかった理由は?

檜垣 センサーに写っている画像のピントが「一番正確である」ためです。組み立て時の誤差などを考慮しなくていいのも利点です。背面の液晶パネルであれば、13倍まで拡大してピントを確認できます。それをオートで実現したかったのです。液晶パネルは今回からVGAの解像度がありますので、マニュアルフォーカスでも確認しやすいと思います。

── コンパクト機で当たり前のように使われているコントラストAFが一眼レフ機ではなぜこれまで搭載できなかったのでしょうか。

檜垣 ひとつは使用されている撮像素子の違いがあると思います。コントラストAFでは逐一画像を確認しながら、よりコントラストの高いピント位置を見つけていきます。そのためには、高速に画像を読み出せないといけません。コンパクト機では、動画撮影を想定したセンサーが採用されているのですが、一眼レフ機ではより高い静止画の画質が求められるため、高速に画像を取り込んでいくことが難しかったのです。



内蔵フラッシュに関して


──個人的な意見ですが、ペンタ部分が前に張り出しているのは、フラッシュを内蔵しているためですよね。ニコン「FE」とか「FM2」など、かつてのアナログカメラのように、ここはフラットにしてほしいと感じる部分です。

檜垣 ここは考え方による部分だと思います。過去の機種では、あって助かったという意見が多かったので付けている面はあります。

 デジタルになって、ISO感度を自由に変えられるようになりました。内蔵フラッシュのガイドナンバーは小さいんですが、緊急避難的にISO感度を上げていただくとかなりの範囲をカバーできるようになります。ですから、小さなストロボですが、役立つシーンは結構あるのではないかと思います。

── 確かにISO 3200まで対応しているから、大光量ストロボを付けているのと同じになりますね(笑)。ただ、個人的に、直でストロボを打つことというのはあまりないんですね。内蔵でも天井バウンスできればいいのになあと思うのですが。

檜垣 なるほど。今回の機種では、内蔵フラッシュの最小光量を少し絞れるようにしています。近いところの調光性能を上げるような改良もしています。

 また、条件付で1/320秒のシンクロに対応しています。D1は1/500秒シンクロに対応しており、それを評価してくださっていたユーザーも多かったのです。以降、電子シャッター付きのいいセンサーがなく、難しい面があったのですが、今回ちょっとがんばってみようということで、閃光発光で1/250秒より速いシンクロ速度にもトライしてみました。外付けのストロボでも可能ですので、活用していただければ幸いです。

渡部 ストロボを内蔵しているのは、コマンダーのためという面もありますね。

檜垣 D70から内蔵フラッシュにコマンダー機能(ストロボ発光で離れた場所にあるストロボを制御する機能)を入れていて、ニコンでは、オフカメラでストロボを使う撮影スタイルを提案していきたいと考えています。光源を離すことで、クリエイティブな作品作りにもチャレンジして、ストロボ撮影って楽しいんだなと感じてもらいたいですね。ストロボは最大2グループまで制御できます。

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