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【短期集中連載】新聞はネットに飲み込まれるか? ― 第1回

「新聞の自殺」とまで言われたタブーに挑む産経グループ(前編)

2007年10月18日 16時00分更新

文● 松岡美樹

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 今やごく一部の「特権階級」=マスコミ人だけでなく、名もないネットユーザーがブログやSNSを使って誰でも簡単に情報発信できる時代である。

 そんな社会の大変動期にあって、既存メディアの象徴ともいえる新聞社が生き残りをかけた新戦略を次々と打ち出し始めた。大新聞はインターネットをどう生かすかのか? それとも新聞はネットの大波に飲み込まれるのか? ここでは各新聞社のキーマンを直撃し、彼らのネット戦略や時代認識などを読み解いていく。



人間がメディアに接する時間は24時間以上にならない


 産経新聞社は今からちょうど2年前の2005年11月1日、それまで自社が行なっていたデジタル事業を引き継がせる形で、新会社の産経デジタルを設立した。その産経デジタルは1年後の2006年6月、ニュース記事にブログをからめた新しいコンセプトの情報サイト「イザ!」(iza!)をスタートさせ、世の中をアッと言わせた。

MSN産経ニュースのウェブサイト(http://sankei.jp.msn.com/)

 また今年10月1日には、マイクロソフト(株)と組んだ新しいニュースサイト「MSN産経ニュース」を始めたばかりである。では産経新聞社は「インターネットの時代」をどう認識しているのだろうか? 産経デジタル取締役の近藤哲司氏は言う。

 「まず新聞は国内市場だけをターゲットにしており、日本の人口が収縮する中で市場が冷え込んできたという問題を抱えています。広告収入は落ち込んでいますし、若年層は新聞を読まなくなってきた。このへんは新聞各社が共通して持っている認識でしょう」

 ブロードバンドが浸透し、インターネットの利用者が爆発的に増えて行くなか、起きてくるのが、メディアに接する時間の奪い合いだ。

 「例えば、Aさんがメディアに接する時間は、最大でも1日に24時間しかありません。インターネットという新しいツールが登場し、その24時間を分け合うメディアのシェアが変わる。つまりテレビやラジオ、新聞、雑誌などあらゆるメディアが、限られたパイの中でますます激しいシェア争いをする時代になるということです」



スクープがあれば新聞より先に出す


 では産経新聞社は、その競争の時代をどう乗り切ろうとしているのか?

(株)産経デジタル 取締役の近藤哲司氏

 新媒体であるMSN産経ニュースの立ち上げに当り、発表記者会見では衝撃が走った。産経新聞社の住田良能社長が「スクープがあれば、新聞より先にウェブに出す」と言い切ったのだ。新聞業界にとってこのスタンスは、10年間のタブーに踏み込む「革命」である。近藤氏は続ける。

 「新聞各社のウェブサイトが作られ始めたのは1995年ごろですが、当時から理由のない制限がウェブにはたくさんありました。たとえば新聞の一面に掲載された記事をウェブで見せる場合、一面に10本の記事があったとしたら、そのうち3本しかウェブに出しちゃいけない、とかね。あるいはウェブには原稿の最初の3割しか載せるな、みたいな制約です」

 インターネットはニュース記事を無料で読ませるものだ、だからネットは新聞にとってマイナスであり、ネットは新聞を「殺す」存在だ──多くの新聞人たちがこう考えていた。

 だからプライオリティをつけ、制約をもたせることでいわば「不自由なウェブ」を演出してきたわけだ。「どうです? ウェブでは全部のニュース記事が読めないでしょう? 読みたいなら紙の新聞を買ってくださいよ」ということである。

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