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コカコーラのレシピや大統領のレポートの管理にも使われるIRM技術――EMCジャパン

2007年10月11日 22時49分更新

文● アスキービジネス編集部

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EMCジャパンは、10月11日、プレス向けにIRMに関する説明会を開いた。昨年買収したオーセンティカの技術を組み込んだIRM製品を展開するEMC。今回はIRMの基本的な考え方を解説するとともに、現行製品の概要について紹介した。


ファイルの暗号化と権限管理を同時に実現するIRM


 企業活動における情報保護の必要性が高まっている。相変わらずメディアをにぎわしている個人情報の漏えいはもちろん、競争の源泉となる独自技術に関する文書や設計図面などの機密情報の流出は、企業にとっては死活問題だ。加えて、日本版SOX法に代表されるコンプライアンス対応への要求も、こうした情報保護の流れに追い討ちをかける。

コカコーラのレシピや大統 領のレポートの管理にも使 われるIRM...

EMCジャパン CM&A事業本部システムエンジニア 杉本奈緒子氏

 そこで、注目されているのが、IRM(Information Rights Management)あるいは、ERM(Enterprise Rights Management)と呼ばれる概念である。IRMとは、文書ファイルの暗号化と権限管理を同時に行なうのもので、類似概念に、マルチメディアコンテンツの著作権保護を目的としたDRM(Digital Rights Management)がある。「ファイルの暗号化だけではパスワードの管理など運用面での課題が残る。暗号化に加えて、いつどこで誰が何をしたのか記録が残り、ファイルの利用権限を設定できるのが、企業向けのDRMであるIRMの特徴」とEMCジャパン CM&A事業本部システムエンジニアの杉本奈緒子氏は説明する。

 米EMCは、昨年2月、IRM専業ベンダーであるオーセンティカを買収。オーセンティカの技術をベースに、権限付与、ユーザー認証、監査ログ、暗号鍵の管理、ポリシー管理、暗号化などの機能を持つIRM製品「EMC Documentum IRM」を開発・販売している。Documentum IRMは、ECM(エンタープライズコンテンツ管理)製品であるDocumentumのオプション、もしくは単体製品として導入でき、「Documentumと併用することで、企業を超えた外部に対して配布後の管理を徹底できるようになるメリットがある」(杉本氏)という。

 Documentum IRMの利用には、社内にIRM Serverを立て、クライアント側にはMicrosoft OfficeやAdobe Acrobatなどに専用のプラグインを組み込む。ユーザーは、プラグインからファイルの利用権限や有効期限などを設定し、IRM Serverでポリシーと暗号鍵を保管する。IRMが設定されたファイルを受け取ったユーザーがこれを開くと、ネットワーク経由でIRMサーバにアクセスして認証を行ない、設定されたポリシーに従って利用が可能になる流れだ。ファイルの作成者や管理者は後にファイルの利用状況をログとして確認することもできる。

Documentum IRMのデモ。ファイルのアクセス権限、印刷や編集の可否、有効期間などをポリシーとして設定する(左)。(右)は、IRMで保護されたファイルをExcelで開いたところ。ファイルメニューの一部がグレーアウトしている

 一度クライアントにプラグインを組み込んでしまえば手軽に利用できるため、従来のファイル暗号化ソフトなどに比べても使い勝手はいいという。Documentum IRMは、現在、グローバルで250社、国内では25社の顧客企業がいる。「海外では、コカコーラのレシピの管理や、CIAが大統領向けに出すレポートの保護にも使われている」とのことから、その信頼性は高く評価されている。日本では製造業の導入がほとんどで、主に海外の工場との図面データのやり取りなどに使われることが多いという。

 EMCジャパンでは、今後、Documentum IRMとDocumentumとのより密な連携や統合利用を実現することで、さらに利便性を高めていく計画である。

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