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「Dolby 3D Digital Cinema」上映会に潜入

ドルビー、超リアルな映画向け立体映像技術を日本初公開!

2007年09月27日 17時24分更新

文● 編集部 橋本 優

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 米ドルビーラボラトリー(Dolby Laboratories)社の日本事務所であるドルビーラボラトリーズインターナショナルサービスインク日本支社は27日、映画館向け立体映像技術Dolby 3D Digital Cinema」の体験試写会を、東京・品川にある(株)IMAGICAの東京映像センター試写室で開催した。

IMAGICAの東京映像センター試写室

IMAGICAの東京映像センター試写室

 Dolby 3D Digital Cinemaは、デジタルシネマ用の立体映像技術。既存の映画館に手軽に導入できるのが特徴で、2Dと3Dの切り替えも可能。スクリーンに特別なものを使う必要はないが、視聴者が専用のメガネを着用する必要がある。北米では11月16日公開の映画「Beowulf」(ベオウルフ)で実用化される予定となっている。

Dolby 3D Digital Cinemaの仕組み図

Dolby 3D Digital Cinemaの仕組み図

 その仕組みは、まず右目用と左目用で3原色(R・G・B)の波長が異なる映像を用意する。その上で、劇場用DLPプロジェクターの光源の前に「フィルターホイール」と呼ばれる回転式のフィルターを設置する。このフィルターは右目の波長と左目の波長に対応する部分で半分に分かれており、これが回転することで右目と左目の波長で交互に出力が切り替わる。

「フィルターホイール」円盤部分はCDサイズ

「フィルターホイール」。円盤部分はCDサイズ

映像は、波長の異なる原色のものを2パターン用意する

映像は、波長の異なる原色のものを2パターン用意する

フィルター調整用のコントローラーも必要

フィルター調整用のコントローラーも必要

 一方、映像を見る側(観客)は特殊なメガネを装着。このメガネを介することで、右目と左目で交互に映像が切り替わり、映像が立体に見える。このメガネ自体は50層のレンズを採用しており、複雑な構造になっているものの、電池などは不要でメンテナンスレスで利用できる。また、フィルターホイールを外せば、通常の2次元の映画も上映できる。

Dolby 3D Digital Cinema用メガネ

Dolby 3D Digital Cinema用メガネ

 この技術により、映像ソースから右目用、左目用の映像を出力する必要があるが、映像ソース自体を改変する必要はなく、またレンズから先の投射エンジンもそのまま利用できるため、映像クオリティーを落とすことなく映像を3D化できるという。

 会場では「スターウォーズ」などの立体映像が流れたが、顔の真横をすり抜けるロケット目の前まで飛んでくる破片、立体化したキャラクターの動きなど、気持ちが悪いほどリアルで迫力のある映像が堪能できた。反面、数分の映像だったがメガネを外したとたんにどっと目の疲れを感じた



日本導入の課題は字幕か


ドルビー社の上席副社長であるヨーアン・アレン氏

ドルビー社の上席副社長であるヨーアン・アレン氏

 試写会に先立ち、ドルビー社の上席副社長であるヨーアン・アレン(Ioan Allen)氏がDolby 3D Digital Cinemaについての解説を行なった。

 同氏によると、Dolby 3D Digital Cinema開発の発端は、2005年公開の映画「チキンリトル」で採用された劇場向け3D技術を米REAL D社とともに開発したことだという。

 その上で、ドルビー独自の基準として「通常の映画館の運営の中に簡単にとりこめるようなもの」「2Dから3Dへの切り替えが楽なもの」「スクリーンに特別なものを使わないもの」「コスト効果が高く、システムを売り切りにして、メンテナンスやライセンスの必要がなく、追加コストがかからないもの」を目指したという。

 すでにアメリカではベータテストが敢行され、250回の試写を行なったという。試写にあたっては、通常の映画よりも1ドル高い料金設定にしたが、運用面での追加費用はメガネの洗浄代10セントのみだったという。

 質疑応答では、日本での実用にあたって「字幕」の問題が取り上げられた。アメリカの試写では「5分ぐらいしたら部屋から出て行く」人が多かったそうだが、やはり通常の映画よりは目が疲れる。吹き替え版への適用が実用的なようだ。

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