学生向けSNSから方向転換
Facebookは、もともと2004年にハーバード大学で、同学の学生だけのためのSNSとしてスタートした。その後も完全招待性の学生専用SNSとして展開してきたが、2006年の秋から方向転換を図り、誰でも登録して利用できるようになった。その結果、今年2月には米comScore Media Metrixが調査したウェブサイトのアクセス数ランキングで60位から7位に急浮上した。
そして今年の5月になって、先のアプリケーション組み込みを可能にするAPI公開を実施。米ニューズウィーク誌で大々的に紹介されたほか、IT情報サイトとして人気の「Techcrunch」でも頻繁に取り上げられた。今、米国で影響力を持つ主要ブロガーのほとんどが利用していることでも注目を集めている。
APIを公開しているインターネット上の仮想コミュニティーというと、日本でも異様な盛り上がり方を見せているセカンドライフなどが思い浮かぶが、Facebookでは仮想のアバターを操作するまどろっこしさがなく、欲しい情報を直接見たり、ボタンをクリックしてアイテムを即座に受け取ることが可能だ。
またプロフィールに登場するのは、あくまでも本人であり、仮想の人格ではない。別に本当のプロフィールを書かなければならないという縛りはないが、多くの人が自分の本名と素顔の写真、さらに人によっては電子メールアドレスや電話番号、さらには詳細な経歴なども載せている。
その代わり、自分の内面をさらけ出す長い日記を書く機能はない。また同じ関心事を持つ見ず知らずの人が寄り合って意見を交わすグループ機能もあるが。こちらもあまり長々とした意見を書き込むようなデザインではなく、同じグループに属する自分の友達の見つけやすさなどに重点が置かれている。
リアルな交友関係を支援するツール
要するにFacebookでは、知らない人が「はじめまして。よろしくお願いします」とつながっていくのではなく、現実の世界で知っている人、会ったことがある人としかつながらないのが基本になる。
筆者の印象を言えば、濃密な人間関係にドップリ浸かるのではなく、楽しいアプリケーションやそれを使ったやりとりで、連絡を怠っていた友達にたまにちょっかいをかけながら、いい関係を続けるために役立つSNSという感じだ。
そうしたコミュニケーションを実現するために、「Poke」というちょっと変わった機能がある。友達に対してPokeを実行すると、相手のプロフィールに「あなたは誰々からPokeされました」と表示される。特にメッセージを伝えるわけでもなく、ただちょっかいをかけるだけの機能だ。
Facebookには、mixiのような「足あと」機能はないが、その代わりとして、「最近、ご無沙汰しているけれど元気?」とか「私はあなたのことを気にかけていますよ」といった気持ちを、軽く無言で相手の肩を叩くような感覚で伝えることができる。
また、友達を登録する際には、面倒だが、どうやって知りあったかを入力するようになっている(Skipも可能)。例えば2004年から2005年まで取引先として付き合いがあった、といったことを入力すると、「Social Timeline」という年表に、友達との交流が年表形式で表示される。
(次ページに続く)
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