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ヘッドホン? いえいえ、スピーカーなんです

【レビュー】新ジャンルなスピーカー、ソニー「PFR-V1」を聴く

2007年10月05日 17時06分更新

文● 高橋敦

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アコースティック楽器中心の音源に最適


 最後に音楽を再生して、音質をチェックしていこう。試聴は、MacBook上の「iTunes 7.4.1」でAppleロスレス形式の楽曲ファイルを再生。無線LANで「AirMac Express」に配信し、光デジタル接続したDAC/ヘッドホンアンプ(IZO「R.spec iHA-1」)のヘッドホン出力にて行なった。

 試聴盤はDon Friedman VIP Trio「Timeless」(ジャズピアノトリオ)、Dream Theater「Octavarium」(プログレッシブメタル)、Jacintha「Lush Life」(ジャズ女性ボーカル)など。

 ひと通り聴いてみたトータルの印象としては、ニアフィールドリスニングの究極とも、オープン型ヘッドホンの究極とも感じられた。両者の中間的な音場感だ。スピーカー的な立体感(奥行き)までは感じられないが、俗に言う「頭内定位」感(頭の中に音像を感じること)はヘッドホンとしてはかなり薄い

 ジャズ系の録音ではアコースティック楽器の響きが豊かだ。スネアドラムやシンバルで顕著だが、音像にいい意味での軽さがあり、すっと抜けて余韻を残す。一方、低域は不得手なようで、ウッドベースの重みなどはもう少しほしい。しかし音の輪郭はしっかりしており、音楽的なバランスは崩さない。Dream Theaterは本来高密度で分厚い音場のはずなのだが、薄味になってしまう。

 空間の広がりのよさ、響きや微細なニュアンスの描写力に優れるので、アコースティック楽器を中心とした音源で力を発揮すると感じた。



アクティブスピーカーの代替として選択


音量調節

付属のブースター。100円ライターサイズで、電源は2本の単4形乾電池。ブースト量調整はなく、常に一定のブーストを行なうので、音量はパソコンやiPodなどのプレーヤー側で調節しよう

 PFR-V1のパッケージには小型ブースターが付属する。確かにPFR-V1の入力感度は一般的なヘッドホンより低めのようだ。といってもiPodやMacBookのヘッドホン出力で音量が不足することはなく、音量設定を少し上げればブースターを使わなくとも問題ない。

 ただし、そのやり方だと特にパソコンのヘッドホン出力につないだ際、PFR-V1を外して内蔵スピーカーや他のヘッドホンに出力に変えたあとで再生音量がいきなり上がって驚く、ということがありそうだ。そうした事故を防ぐために、ブースターを挟んでおくのも一案である。


 PFR-V1はとにかく従来にない新コンセプトの製品だ。音場の感触も、屋外利用にまったく向かないところもヘッドホン的ではない

 もちろんヘッドホンから買い替えて、ヘッドホン的に利用しても力を発揮してくれるだろうが、例えば今までデスクトップに小型のアクティブスピーカーを設置していたユーザーが、ステップアップとして高音質スピーカーではなくPFR-V1を選択するというのもアリではなかろうか。


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