店内全景はどちらも広すぎて写真には収められない。Apple Storeのほうは、例によって展示台に製品が余裕を持って並べられていて、客がそれを試している。もちろん、五番街店にも“ジーニアスバー”がある。TEKSERVEは、修理中のMacがずらり。写真をよく見てもらうと分かるが、店内のディスプレーに古いMacが活用されていたりする。誇らしげに古い機器が飾られていたり、何があるか分からない(“東京カレー日記”参照)。
客層は本当にさまざまなApple Store。五番街といっても、観光地でもあるわけで、米国のモノ好きオッサン御用達の“Sharper Image”や“Brookstone”からもほど近い(こちらはどちらも客はまばらだったが)。
TEKSERVEのほうは、また違った意味で多種多様な客層だ(貧乏学生やデザイナー、あるいはちょっとマニア層?)。診療所みたいに持ち込み修理で待っているのも日本にはない風景。
Apple Storeで、ひときわ印象に残るのが入り口の中空にあるアップルのマークだ。対して、TEKSERVEで印象に残ったのは、学生街のピザ屋なんかにいまも健在の“売ります・買います”の掲示板。TEKSERVEで十分になごんでからApple Storeの五番街に出かけたら、なんだかジョージ・パル監督の『タイムマシン』に出てきた80万年後の人類になったみたいな気がした。
米国のコンピュータカルチャーには、日本には絶対にない“あるテイスト”が香っていると思う。それは、ちょっとアカデミックでちょっと危なくて“ホールアース”とか“マインドスケープ”とかそういう言葉が象徴するものだ。
Apple Storeが積極的にそこから離れようとしているように見える一方で、TEKSERVEは、ずっとそこに留まっている。古いと言うなかれ。ゴチャゴチャの中に暖かさもあるのだ。そういえば、9.11の後、冒頭のJ&Rが協力してグランドゼロを訪れる人たちに無線LANを提供していたのは有名な話である。
Apple Storeのフラグシップ店とマックのことなら何でもおまかせの超アットホームな店。でも、どちらもニューヨークを代表するMacの店なのである。私は、Apple Storeにもワクワクするし、晴れがましいようなイイ気分になる。けれど、断然TEKSERVEのほうが自分とコンピューターの関係が見えて好きなのだ。
あなたは、どちらがお好みだろうか?