一般人も犯罪者にしてしまう!?
── Winnyなどを使って、コンテンツを違法に入手している人を取り締まれるようになるのは、一般ユーザーにはあまり関係ないし、逆にいいことではないのでしょうか?
津田 今のところ法改正で違法にしようとしている範囲は、録音と録画、つまり、音楽と放送、映画のコンテンツに限られています。
しかし、この改正案が通れば、今後出版や新聞(テキスト)や、写真、絵画、マンガ、ゲームなどほかの業界が「音楽や映画放送だけえこひいきするな。うちのコンテンツでも、違法ダウンロードを違法化してくれ」と要望を出してくる可能性は十分にあるでしょう。
── テキストや写真などで、違法ダウンロードが違法化されると、どういった影響が出てきますか?
津田 僕が恐れているのは、そうしてあらゆる違法コンテンツの“ダウンロード”が違法化されたときのネットの秩序です。例えば、現状ネットに上がってる新聞記事を自分のブログにコピペして掲載している人は枚挙にいとまがありません。
もしテキストにもこの“ダウンロード違法化”が適用されれば、「ブログに無断転載された記事が読みにくいからパソコンで印刷した」という行為も立派な“複製”なので、違法になります。
音楽や動画と違い、テキスト、絵画、マンガなどは容易に印刷が可能なため、ユーザーは意識しないままカジュアルに違法行為を行なうでしょう。つまり、この法改正が進むことで、インターネットに接続する人の多くが“潜在的犯罪者”になってしまうんです。
表現や言論の自由にも関わってくる
── 普通の感覚で考えると、本当に意図せず違法コンテンツを複製してしまった場合は、免責になりそうな気がしますが……。
津田 今回の改正では「情を知って」という制限事項が付いていて、一応、知らないうちに違法コンテンツをダウンロードした場合は責任を問わないことになっています。
しかし、「知らなかったらOK」というあいまいな基準で利用者保護をするくらいなら、最初から違法アップロードした人や業者をねらい打ちして摘発すればいい話です。そのために著作権法には“送信可能化権”があるんですから。
もう1つ重要な問題として、テキストの違法コンテンツのダウンロードに制限をかけるのは、端的に言って“表現・言論の自由”に抵触する可能性も出てきます。ダウンロード違法化は、日本国憲法にも関わる非常に微妙な問題とも言えるんです。
何より音楽や映画放送という一部の著作権者の利益を守るために、何百万人が当たり前にやっていることを犯罪化してしまうことにつながる法改正を行なうというのは、明らかに間違っていると僕は思います。
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