違法コンテンツの“ダウンロード”も罪になる
── 各小委員会の議題の中で、津田さんが注目しているのは何でしょう?
津田 著作権保護期間の延長や、補償金制度をどうするかということももちろん大切です。
しかし、僕個人の問題意識で言えば、音楽や動画の違法コンテンツをインターネットからダウンロードすることについて、法改正で違法化するという話が出ていて、それがほぼ確定事項として進んでいることに強い危惧を覚えています。これはネットユーザーに深刻な影響を与える大きな問題です。
── 何が原因で、そうした動きが出てきたんでしょう?
津田 それは音楽、映画、テレビ業界などの権利者側が、“Winny”などのP2Pソフトの使用や、“違法着うた”のダウンロードを阻止したいという考えを持っているからです。
現状、違法コンテンツをアップロードする行為については、著作権法の二十三条“公衆送信権”の項目を元に、送信可能化権の侵害として訴えることができますが、ダウンロードする行為を罪に問う法律がありません。
小委員会では、法改正が既定路線に
── 違法コンテンツをダウンロードする行為は、今まで違法ではなかったんですか?
津田 著作権法の三十条“私的使用のための複製”の項目では、インターネットからダウンロードする行為については何も触れられてなくて、今のところ違法なコンテンツをインターネットから落としてきても、私的複製の範囲外にはならないという解釈になっています。
著作者側からは長年、違法ダウンロードも私的複製に含めようという声が上がっていました。そして今回、私的録音録画小委員会では、著作者側の意見をほぼそのまま飲んで、三十条を改正する方向で進んでいます。
小委員会の会合は残り2回しかありませんが、話し合わなければいけない議題も別にあります。各委員の反応からしても、大きな反対が出ているわけではないので、もはや法改正は規定路線と言っていいでしょう。
著作権法
著作権法の条文については、社団法人著作権情報センターのウェブペー ジで閲覧できる。例えば、三十条はこちらに掲載されている。
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