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iPod touchは、機能限定のiPhoneじゃない

新ラインアップに“iPod”の真髄を見た(中編)

2007年09月07日 18時54分更新

文● 林信行(ITジャーナリスト)

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iPod touchの物足りなさ、どう解消する!?


 ではもし、外出先で、メールを読み書きしたり、株価や天気をチェックしたり、メモを書いたり、カメラで写真を撮ったりしたい人はどうすればいいのだろう?

 答えはあなたのポケットか、机の上にある。“携帯電話”だ。あなたの携帯電話には、iPodの物足りなさを補ってくれる機能が十分に備わっている。

 例えばGoogleマップであれば、“DoJa”プロファイルに対応した最新のドコモ端末なら、グーグルが用意した純正のGoogleマップアプリケーションが使える。こちらもiPhoneの操作性には及ばないが、携帯電話機の限られたハードウェア仕様の中で、使いやすさのために信じられないほどの努力と工夫を凝らした素晴らしいアプリケーションだ。

 運悪くGoogleマップが動く携帯電話を持っていない人にも、日本には世界に誇れる『NAVITIME』(ナビタイム)というアプリケーションがある(auの携帯電話では『EZNaviwalk』)。Googleマップとは、使いやすさに対するアプローチが180度違うが、こちらもよくできたソフトだ。

 パソコン用の電子メールをチェックしたい人にはリモートメールなどのソリューションもある。

 当たり前だが、iPod touchは、iPhoneとは違ってケータイの代替品ではなく、ケータイとの併用が前提なのだ。



仕事のオフにもぴったり


 もっとも、iPod機能と携帯電話を、あえて別々にすることにもメリットがある。

 仕事に疲れ、数時間の散策や数日間の旅に出たとしよう。仕事の同僚や取引先から電話がかかってくるかもしれない携帯電話はできればOFFにして、じっくりリラックスしたいところ。

 そんな時でも、iPod touchを別に持っていれば、音楽やウェブブラウジングは楽しむことができるのだ(もっとも、iPhoneユーザーもエアプレーンモードをONにしておけば、音楽は楽しめるのだが……)。

タッチとクリック──1シリーズに2つの操作はアリか!?


 今回の一連の新製品を見て、同じ“iPod”という名前でくくりながら、マルチタッチとクリックホイールの2種類の操作方法を用意するのは、混乱のもとではないかと心配する人もいるかもしれない。だが、アップルはこのあたりについても考えているのだろう。


 ここで仮に容量160GBのiPod Classicが、全面タッチパネルのマルチタッチ操作を採用し、そこに100GB分ほどの音楽をいれたとしよう。現在のiPodは5GBあたり1500曲入る計算なので3万曲入ることになる。この3万曲を指でスクロールさせるのは、実はかなり大変だ。iPhoneのマルチタッチ操作が操作していて気持ちがいいのは、搭載するデータの容量がある程度制限された場合においてだ。


 何万曲という曲が入るiPod Classicにおいては、実は今でもクリックホイールの操作の方が快適なのだ。こういった形で、アップルはiPodラインアップの中でも、製品の用途、目的に応じて最適なインターフェースを選んでいる。マルチタッチが出てきても、Macシリーズのキーボードやマウス、トラックパッドがなくならないように、一部のiPodのクリックホイールもなくならないのだ。


※後編はこちら


林信行

著者近影 林信行さん

 フリーランスITジャーナリスト。ITビジネス動向から工業デザイン、インタラクションデザインなど多彩な分野の記事を執筆。『MACPOWER』『MacPeople』のアドバイザーを経て、現在、日本および海外の媒体にて記事を執筆中。マイクロソフト(株)の公式サイトで執筆中の連載“Apple's Eye”で有名。自身のブログ“nobilog2”も更新中。オーウェン・リンツメイヤーとの共著で(株)アスペクト刊の『アップルコンフィデンシャル(上)(下)』も発売中。



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