このページの本文へ

【インタビュー】Skimee開発者に聞くAIRの実力

サイバーエージェントの“Skimee”が、Adobe AIRのオープニングベルを鳴らす

2007年09月06日 21時00分更新

文● 千葉英寿

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

Skimeeは「何か面白いことをやりたい」で作られた


AIRアプリケーション共通の起動画面

AIRアプリケーション共通の起動画面

日本発のAIRアプリケーション第1号となったSkimeeは、同社の動画投稿サイト“AmebaVision”(アメーバビジョン)、および米グーグル(Google)社の動画投稿サイト“YouTube”(ユーチューブ)にアップロードされている動画を視聴できるデスクトップアプリケーションだ(関連記事4)。常にデスクトップにおいて、ほかの作業をしながら“だだ見”“ながら見”ができる重宝なアプリである。発表当日より無償ダウンロードで提供開始されたSkimeeは、1週間で2000回以上のダウンロード数を記録しており、年内に1万ダウンロードを目標としている。

Skimeeは、サイバーエージェントにおいて、ウェブアプリケーションなど次世代のインターネットサービスやソフトウェアについて研究開発を行っている部署である“AmebaVisionラボ”が開発したもの。同ラボではこれまでにも、“みんなで絵文字”(ユーザーが作成した絵文字を共有できるサービス)や“プーペガール”(ユーザーが自分のファッションアイテムの写真を投稿すると、アバターの着せ替えが楽しめるサービス)などを開発している。

武石幸之助氏

武石幸之助氏

大平哲也氏

大平哲也氏

切通伸人氏

切通伸人氏

今回のSkimee開発について、アメーバ事業本部のアメーバビジョン事業部事業責任者の武石幸之助氏と、開発を担当した新規開発局コア・テクノロジーグループの大平哲也氏、切通伸人氏の3氏にお話をうかがった。

―― Skimeeを開発するに至った経緯を教えてください。

武石氏 AmebaVisionラボでは、常にユーザーの行動や視聴環境、どうすればより快適かを考えています。そして、何かしら面白いことをやりたいと考えています。
切通氏 今年の1月ごろから、Apolloが何かと話題になり、Flashデベロッパーであれば作れることがわかった。(自分たちも)何か面白いものを作ってみようということになり、Apolloアプリケーションの開発がスタートしました。具体的には、ほかの作業から手が空いた4月ぐらいから着手しました。開発期間自体は1ヵ月ぐらいで6月いっぱいまでかかりました。

―― 「何か面白いもの」とは、具体的にどのようなものを作りたいと思ったのでしょうか?

武石氏 AmebaVisionの投稿動画を流しっぱなしで視聴することです。自動視聴については以前からユーザーの要望がありました。見たいもの、好きそうなものを流しっぱなしにしようというわけです。それで“好き+見=スキミィ”というわけです。

―― 開発は何人でぐらいで行なったのですか?

切通氏 プログラムは私で、デザインの原田と2人で実作業して、大平がディレクションを担当しました。
大平氏 ディレクションというよりもサポートしたというぐらいですけど。ほとんど2人で進めてくれました。

―― AIRアプリケーションを手がけようと思った理由とそのメリットをお聞かせください。

武石氏 最も大きい理由がクロスプラットフォームだということですね。Windows、Mac OSどちらのユーザーにもご提供できることは重要ですので。
切通氏 Flashコンテンツを作るのとほぼ同じ感覚で、Flashの既存技術そのまま生かして作ることができるのがメリットですね。FlexBuilderなどのアドビ製品を使えば何も考えずに作れます。デザインもPhotoshopなどのほかのアドビ製品を使えますし。
大平氏 ラボ用のサーバーを特に構築しなくともいいこともありました。ウェブアプリケーションだとサーバーが必要になりますが、AIRだとその必要がなかったので。

―― 仕上がりの満足度はどのぐらいですか? また不満点は?

切通氏 満足度は70~80%ぐらいです。エラーもありますし。もっとも、(AIRそのものが)まだβですので(笑)。具体的には、あるオブジェクトを削除した時に、再表示するとランタイムじゃない動きをして、突然AIRが終了してしまいます。また、透過にするといきなりCPU負荷が増えてしまいます。開発途中でバージョンが変わって、APIが増えたりしたのも大変でしたね。

―― 今回リリースしたSkimeeはこれで完成型なのでしょうか? 今後の展開をお聞かせください。

大平氏 いいえ、まだ途中です。やはり好きな物が見られる環境に持って行きたいと思います。
切通氏 技術的な壁はないのですが。作業する時間があればバージョンを上げたいですね。AmebaVisionの枠から外れてしまいますが、個人的にはSNSっぽいものを作ってみたいですね。
武石氏 どんどん面白いものを作って行くのが、AmebaVisionラボのミッションです。これまでラボとしてリリースしたものの多くは、ユーザーにお使いいただいて、評価されたことで、正式リリースにつながるという例が多いのですが、Skimeeも同じようになればいいと考えています。


お気に入りの動画を登録

お気に入りの動画を登録できる。プレイリストを編集すれば、“お気に入り動画”ボタンをクリックするとリスト順に再生できる

好きなスキンに変更

メニューバーの左寄りにあるスキン選択ボタンで好きなスキンに変更できる

YouTubeの動画も視聴できる

SkimeeはYouTubeの動画も視聴できるが、その場合はYouTubeのデベロッパー登録が必要にある

フルスクリーン表示に切り替え

画面右下のボタンをクリックすると動画をフルスクリーン表示に切り替えることができる


なお同社では、今回の開発に利用したActionScript 3.0によるプログラミング技術を応用し、AmebaVision本体の機能拡充も予定するなど、AIRアプリの開発を前向きに捉えていることがうかがえる。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン