このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

週末見るコンテンツはコレ★ 第4回

【週末見るコンテンツはコレ★】

痴漢! サイコキラー! バイオレンス・サイボーグ警官! “夏の火遊び”どころじゃない犯罪ムービー

2007年08月24日 23時55分更新

文● 大石太郎

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

第4回の今回は、痴漢冤罪の裁判をテーマにした『それでもボクはやってない』、人気の殺人鬼シリーズ最新作『ハンニバル・ライジング』、そして80年代最高峰ムービー『ロボコップ』の完全版と、さまざまな“犯罪”を描いた3タイトル。 この夏、開放的になって「ちょっとワルいことしちゃったかも」なんて人にも、そうでないあなたにも!!

やってないのにそりゃねーよ! ニッポンの裁判の現実
『それでもボクはやってない』

スペシャル・エディション
DVD(2枚組)
価格:6300円
スタンダード・エディション
DVD(2枚組)
価格:3990円
8月10日発売(発売中)
発売元:東宝
http://www.soreboku.jp/

シコふんじゃった』や『Shall We ダンス?』などコミカルな作風で知られる周防正行(すお まさゆき)監督10年ぶりの新作は、日本の刑事裁判が抱える問題点を描いた社会派映画。2002年に東京高裁で無罪判決が出た痴漢冤罪事件をきっかけに自ら取材を進め、地道にリサーチを続けて完成させた話題作だ。

日本の司法制度にメスを入れる社会派映画とはいえ、そこは周防監督。説教臭さや、お涙頂戴的な要素は一切ナシ。極上のエンターテイメント作品に仕上がっている。はっきり言って歴史的名作! 週末といわず毎日でも観てほしい作品。

面接に向かう車内で痴漢に間違われてしまった青年は冤罪の驚くべき実態を体験する。痴漢を認めた男が数時間で釈放され、真実を訴え続ける主人公は何十日も警察に締め上げられる……。

怒りに満ちあふれた問題提起のあと、母親、ベテラン弁護士、親友や元カノが主人公のために立ち上がる。体制側の理不尽な行動に歯ぎしりし過ぎて歯が折れそうになったところに登場する善意の協力者たち。彼らが登場してからの盛り上がりっぷりはハンパじゃない! 力無い一般市民が一丸となって巨大な敵に立ち向かう様を観て何とも思わない人間がいるだろうか? いや、いない(反語)。

邦画バブルと言われるようになって久しいが、ヒットする映画は、愛を叫んだり、死んだ恋人が蘇ったり、何丁目だかに夕日が照っていたりと、大人の映画ファンが本当に感動できるものはほとんど存在しない。

本作のような作品が毎月、とはいわないが年に数本公開されるようになったときが本当の邦画の黄金時代なんだと思う。

周防監督に早く次回作を撮ってもらうためにも、本作を一人でも多くの人に買って、観てもらいたい。とにかく観てもらえば私が興奮している意味も分かってもらえるはずだ。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中