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ケータイGPS標準時代に大きく伸びる!

GPSケータイの必須部品で旭化成がトップ企業!

2007年08月24日 23時00分更新

文● 中西祥智(編集部)

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2006年度の旭化成の売上げ比率

2006年度の旭化成の売上げ比率

コンシューマ向けでは「サランラップ」「ジップロック」で知られるケミカル事業や、「ヘーベルハウス」ブランドの住宅事業が主軸。エレクトロニクス事業の主力製品は、アナログ/デジタル回路を混載するシステムLSIだ。また「ホール素子」と呼ばれるモーターの回転を測定するセンサについては、実に世界市場の7割以上を供給しているという。

旭化成と言えば、「イヒ!」のテレビCMでお馴染み。CMに登場するキャラクター「イヒ!君」の引退は寂しいところ(キャッチコピーは今後も継続)だが、そのイヒ!が、つまり「化」の字の示す通り、同社の基幹事業は化学(ケミカル)事業で、全売上げの約半分を占めている。

一方、営業利益率という点では、エレクトロニクス事業が全事業のトップ(約20%)だ。売上高は全体の約7%(1121億円)だが、全社の営業利益の17%、226億円を稼ぎ出す。そしてエレクトロニクス事業では、今後大きく伸びる可能性を秘めた「電子コンパス」を、携帯電話向けにほぼ独占して供給している。

電子コンパスの有無でどう違う?

電子コンパスを搭載したGPSケータイなら、進行方向が常に上になるように、画面に表示した地図を回転させられる。地下鉄の駅から出た直後で方角がわからないときや、周囲に目印となる建物がないときでも、地図上のどの方向に自分が進んでいるのかがわかるので、迷わずにすむ。電子コンパスは今後、携帯電話に必須のデバイスとなる可能性が高い

今年4月から、第3世代携帯電話にGPSの搭載が原則義務化されたことで、GPS搭載ケータイは今後確実に増えるだろう。だがひとつ問題なのは、GPSだけでは、自分がどちらを向いているのかがわからないことだ。

自動車のように速度が速ければ、移動前と移動後の2つの地点が大きく離れているので、その2地点を線で結ぶことで進行方向をほぼ正確に割り出せる。しかし、GPSには最低でも10メートル程度の誤差があり、徒歩程度の移動ではGPSの誤差に紛れてしまうため、いま向いている方向を知るのは容易ではない。

そこで、方位を検知できる電子コンパスが登場する。GPSに加えて電子コンパスを搭載した携帯電話なら、常に地図を進行方向に向けて回転させることも可能だ。地下鉄から地上に出て、いま自分がどちらを向いているのかで迷うこともなくなる。

旭化成の電子コンパス

同社の電子コンパス(6軸センサ)「AK8976A」のサイズは、縦横それぞれ4.5mmと、非常に小さなもの。

これまでに国内で販売された電子コンパス搭載ケータイのうちの14機種、また現行機種のau「W52S」「W51S」の両方が、旭化成の電子コンパスを採用している。そして同社はさらに、3軸の地磁気センサと3軸の加速度センサを組み合わせ、傾き等を感知できる6軸センサも開発している。これによって、近い将来、ケータイの向きや傾きに合わせて、立体地図をグリグリ動かすことができるようになるかもしれない。任天堂「Wii」のコントローラのような、手の動きを検知できる機器への搭載も期待できる。

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