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キャリア・ピックアップ 第14回

名古屋大学高田広章教授が語る IT系エンジニアが、組み込み業界へ挑戦するなら

2007年08月16日 00時00分更新

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名古屋大学の取り組み

 現在名古屋大学では、前述のような組み込み業界の人材不足対策として人材育成の視点で尽力しています。組み込みエンジニア育成プログラムとしてはNCES(名古屋大学大学院情報科学研究科附属 組込みシステム研究センター)による社会人向けと、学生向けの2つのプログラムがあります。

 社会人向けの「名古屋大学 組み込みソフトウェア技術者人材養成プログラム」は初級・中級・上級の各層のエンジニアに対して、独自に開発した教育コンテンツやNPO法人TOPPERSプロジェクト(注1)などの教育コンテンツを利用した教育を行なっています。ここでは一企業によらない、またいわゆる“現場流”に偏らない技術を実践的かつ体系的に学ぶことができます。現在の受講者は、主に20代から30代半ばまでの社会人経験者で、新人から現役のエンジニアまでさまざまな方が学んでいます。

 また、学生向けの「文部科学省 先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」では、新しい技術が次々登場してもそれに対してすばやく対応できる人材、つまり“最先端技術適応能力のあるITスペシャリスト”の育成を目指したプログラムとなっています。こちらも特定の企業に引っ張られるような内容ではなく、技術を体系的に学ぶことができる内容となっています。名古屋大学、南山大学、愛知県立大学、静岡大学の豊富な教員陣と、各企業から招かれた技術者の指導のもと、学生を実際的な開発プロジェクトに参加させるプログラムです。かなり実践的に学べるようになっていると思います。

 先に述べたように組み込み業界は、分野ごと、メーカーごとにかなり専門的な技術やいわゆる現場流のやり方があります。しかしながら、このような教育プログラムを利用することで、組み込み技術をできるだけ体系的に習得することは自己のスキルアップにつながりますし、そのような人材は今後ますます求めらるようになるでしょう。

注1:NPO法人TOPPERSプロジェクト
TOPPERSプロジェクトは、組み込みシステム開発に有用な高品質のオープンソースソフトウェア(ハード制御系組込みOS。たとえば、自動車制御、産業機器、宇宙機、SOC[System On a Chip]向けのOS)や教育コンテンツを開発している。

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