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10年で3人から700人へ――サイボウズの青野社長が語る、“これまで”と“これから”

2007年08月08日 21時48分更新

文● アスキービジネス編集部

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サイボウズが8月8日、創業から10周年を迎えた。同日、これを記念して都内で開かれた記者会見では、代表取締役社長の青野慶久氏がこれまでの軌跡を振り返るとともに、今後のビジョンを語った。


グループで情報サービスの大衆化に取り組む


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サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏

「もっとグループウェアを簡単に使えるようにしたいとの想いから当初3人で始めた会社も、いまではグループで700名あまりになった」。サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏はこの10年を振り返り、感慨深げに語る。

 1997年に愛媛県松山市のマンションの一室で創業したサイボウズは、グループウェア専業ベンダーとして出発した。同社のグループウェアは、誰もが手軽に利用できる使いやすさ、ダウンロード販売のビジネスモデル、安価な価格設定がユーザーに受け入れられ、中小企業の間で急速に広まっていく。現在のユーザー数は2万5000社・250万人。Lotus Notesに次ぐ国内シェア第2位(ノークリサーチの調査による)にまで漕ぎ着けた。

 そんな同社の経営理念は、「情報サービスを大衆化するために存在する会社」(青野氏)と明快だ。この理念に基づき、当初から提供するグループウェアに加えて、Webデータベース「サイボウズ デヂエ」、簡易CRM(顧客関係管理)システム「サイボウズ メールワイズ」、社内ブログシステム「サイボウズ ブログ」、SFA(営業支援)システム「サイボウズ ドットセールス」へと情報共有の幅を広げている。

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12社にまで増えたグループ会社のシナジーを目指す

 また、積極的に行なった買収や子会社の設立によって、グループ企業は12社にまで増えた。今後は、理念の実現へ向けて「グループで促進していく」(青野氏)という。たとえば、サイボウズ ブログではフィードパスの「Blogengine」をエンジン部分に採用、サイボウズ ドットセールスはインテグラート・ビジネスシステムと共同開発するなど、グループ内の具体的なシナジー効果も次第に見え始めた。

 さらに今夏には、インテグラートとサイボウズ上海を設立し、かつて失敗した海外展開に再チャレンジしている。今後は、通信子会社のインフォニックスと計画中のモバイルサービスの開始なども控える。

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会見ではグループ会社の代表者らトップ13名がずらりと並んだ

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新版Officeは「年度内のなるべく早い時期に」


 サイボウズの直近の施策について、青野氏は、新製品の年度内の投入、ブランディング、既存顧客向け支援の充実、と大きく3つを明らかにした。

 新製品では、中小企業向けグループウェア製品「サイボウズ Office 6」の新版を今後投入する。詳細は明らかにされなかったものの、青野氏によると「年度内(2008年1月末まで)のなるべく早い時期にリリースする」という。

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「かんたんシリーズ」と「ガルーンシリーズ」とに分けてブランディングする

 ブランディングでは、「簡単・お手軽であるはずのサイボウズが分かりにくくなってしまった」(青野氏)との反省から、中小企業向けの手軽に使える製品と、大企業向けにインテグレーションが必要な製品とに分けてラインナップを整理する。前者が「かんたんシリーズ」で、Office/デヂエ/メールワイズなどがこれに該当する。後者は「ガルーンシリーズ」として、製品にはガルーン/ブログ/ドットセールスなどがある。

 既存顧客向けには、電話での利用フォローを行なうほか、ユーザー会の設置やコミュニティサイトのリニューアルなどを予定する。「これまでは売って終わりということも多かった。これからはもっと既存のユーザーを大切にしていきたい」(青野氏)。併せて、既存顧客向けに10万円前後の同社製品を8080円で合計88社に提供するキャンペーンも開始した(8月22日まで)。

 こうした施策で「国内でもっとも使われるグループウェアを目指したい」と意気込む青野氏。一方で、「東証一部上場企業にはなったが、これからもおもしろいことをやる会社でありたい」とユニークな社風をにじませる発言で会場を和ませた。

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