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ビジネスアイデアを競う高校生の大会目指して奮闘中

大人顔負けのアイデアが炸裂! “甲子園”で明日を変える女子高生

2007年07月24日 01時28分更新

文● 遠竹智寿子

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月刊アスキー 2007年9月号掲載記事

「実際にあれば便利で楽しい!」「こんなことしたら地域活性化に役立つ!」といった、商品やサービスの企画を高校生たちが出し合うビジネスコンテストが毎年行われているのをご存じだろうか?

2002年から毎年、大阪商業大学が主催・開催している「ビジネスアイディア甲子園」がそれだ。ビジネス社会と高校生の生活の関わりから生まれた問題提起を起点に、独創性あふれるアイデアを競うもので、ここ1~2年は90校以上の高校が応募。この“激戦”の中、「ニュービジネス部門」において2005年度に準グランプリ、2006年度にはグランプリと連続受賞を勝ち取っているのがカトリックの名門女子校・田園調布雙葉女子中学高等学校である。今年も高校3年生の情報科選択授業の一環として、受講する生徒16人全員が個人/グループで参加し、グランプリ2連覇を目指す!

 情報科を受け持つ小林潤一郎先生は「コンテスト参加を通じて、ビジネス現場で役立つ企画力やプレゼン力を付けさせたい」と、その目的を語る。コンテストの審査は11月下旬で、A4用紙1枚の書類と、その付加情報となるプレゼンの様子を収めたビデオおよびスライドが対象だ。そこで同校では、まず5月に“はじめの一歩”として全体構想の描き方について、同校OGや社会人を招いての公開研究授業を実施――普段接しない社会人との交流を持たせ、生徒たちの感性を刺激することも狙いだが、ここで学ぶのは、マインドマップを用いた企画出しから発表までの基本手順。

 そして彼女たちは応募用のアイデアを練り上げ、プレゼンの作成作業に取りかかることになる。6月28日、彼女たちのアイデアの“初お披露目”ともいうべき公開プレゼンが、審査員3名を含めた社会人10数名を招いて記念講堂にて開催された。ひと通り聞いてみての感想だが、彼女たちの企画内容とプレゼン能力にはただ驚くばかり。声の抑揚や目線の配慮といった発表時の心得を授業の中で学んできている様子で、聴衆への問いかけやジェスチャーを交えたり、裏付けとなる資料を用いるなど、どれも惹きつけられる内容だった。審査員からは、経験豊富な立場ならではのビジネス視点での評価も受けたが、これも生徒たちにとって〝ビジネス現場?を考える学びのひとつとなっている。

 日本の教育社会では、実社会で役立つようなカリキュラムへの取り組みはまだまだ発展途上だ。12月に予定されているビジネスアイディア甲子園での表彰式もさることながら、大学入試前にも関わらず、コンテスト参加を通してこれだけの能力を発揮した彼女たちの将来がとても楽しみである。

LCTservice

公開作品その一「LCTservice」:高齢者の孤独死のような悲しいニュースを見聞きし、お互いを思いやる社会になってほしいという願いから、学校と養護学校/幼稚園と老人介護施設をつなげる NGO法人を提案。民間企業の雇用状況や悩み、高齢者虐待などの社会問題を含めた現状分析、設立までの流れ、設立後に生じる懸案事項に対する解決策までを網羅したプレゼンが行われた。

エンナガ

公開作品その二「エンナガ」:鉛筆をよく使う生徒は、いつも小さくなって使われなくなる鉛筆があることを懸念していた。資源を大事にしながら「鉛筆が鉛筆であるためにその形状と“削れる”ことは外せない」として、芯を交換できる新しいスタイルの鉛筆「エンナガ」を提案。あえて鉛筆を改良し、その良さを残す発想が新鮮。聞き手を引き込む動きのある、思いを込めたプレゼンだった。

ビジネスアイディア甲子園

ビジネスアイディア甲子園:「ニュービジネス部門」と「地域や社会を元気にするビジネス部門」で、全国の高校生からのアイデアを募集中(10月27日締切)。生徒たちはアイデアの概要と思いついたきっかけ、従来の商品・サービスとの相違点、具体的なイメージ図を応募用紙に記載し、申し込む。11月下旬の最終審査後、12月15日に大阪での表彰式と公開プレゼンが予定されている。

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