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日本オラクル、「アプリケーション統合アーキテクチャ」の詳細を語る

2007年07月20日 20時02分更新

文● 渡邉利和

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日本オラクルは7月20日、同社の「アプリケーション統合アーキテクチャ」(AIA、Oracle Application Integration Architecture)の詳細について説明を行なった。


今年度最大の目玉となるAIA


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日本オラクル執行役員アプリケーションビジネス推進本部長の藤本 寛氏

 「アプリケーション統合アーキテクチャ」(AIA:Oracle Application Integration Architecture)およびAIAの具体的な構成要素となる新製品「プロセス統合パック」はすでに7月10日付けで発表されており(=関連記事)、今回の説明会はその追加/補足的なものとなる。

 全体概要を説明した日本オラクル執行役員アプリケーションビジネス推進本部長の藤本 寛氏は、AIAおよびプロセス統合パックを「今年度最大の目玉となる製品」と話す。

 オラクルでは“Innovation & Acquisition”(革新と獲得(買収))と表現されるM&A戦略を推進しているが、同氏は今後さらに“Integration”(統合)を実現する段階に入ると説明する。Innovationでは、同社の基盤ソフトウェアにおけるグリッド対応など、エンタープライズ・ソフトウェアに求められる信頼性・可用性・保守性を実現。Acquisitionでは、PeopleSoftやJD Edwardsなどの買収でERPソフト「Oracle E-Business Suite」の機能面での完成を導いた。

 その先のIntegrationでは、豊富に揃ったアプリケーション群の相互連携を実現し、「アプリケーション間のシナジーを実現し、“バーチャルスイート”化する」という。この際の“骨髄”と位置づけられるのがAIA/プロセス統合パックとなる。

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オラクルのM&A戦略とAIAの位置づけ

 さらに、AIAは将来の「Fusion Applications」に使われる技術のうち、現時点で提供可能で既存のアプリケーションに対して適用可能な部分を先出ししていく、という性格も併せ持っている。次世代のシステムへも自然な移行が可能になり、大幅なアーキテクチャ変更が不要になる点で、ユーザーにも大きなメリットがあるとしている。


Enterprise SOAを実現するためのステップ


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アプリケーション統合アーキテクチャ推進部 ディレクターの大本 修嗣氏

 AIAの詳細説明を行なったアプリケーションビジネス推進本部 アプリケーション統合アーキテクチャ推進部 ディレクターの大本 修嗣氏は、AIAの根本的な考え方を「Enterprise SOAを実現するための具体的なステップ」と位置づける。

 AIAは、「業種別リファレンスモデル」「プロセス統合パック」「Oracle Fusion Middleware」の3層で構成され、業界団体であるOAG(Open Application Group)が定義するOAGIS(OAG Interoperability Standard)に基づく「Enterprise Business Object」を共通オブジェクトとして利用する。

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AIAを構成するコンポーネント

 SOAは、元々はシステム統合のための技術ではなく、柔軟で変更が容易なシステムを低コストで実現する技術。だが、現時点ではSOAに基づいてサービス化された処理が蓄積されていないため、いわばEAI(エンタープライズアプリケーション統合)の代替手段として部分的に使われている段階だ。

 AIAでは当初、パッケージ間の統合を実現する手段を提供するが、将来的にはパッケージとユーザーの自作アプリケーションとの統合にも対応していく。これは、AIAに基づいた具体的なプロセス統合ソリューションをパートナーやインテグレータが独自に開発することも可能になっているためだ。

 アプリケーション統合のためのフレームワークは既に市場に存在しているが、多くは標準インターフェイスを提供する段階に留まっており、統合実現の実作業はユーザーが負担することになる。しかし、AIAに基づくプロセス統合パックでは、オラクルのアプリケーション・パッケージを対象として、具体的な統合の手法が事前定義されて提供される。このため、統合実現に要するコストが大幅に削減できるという。

 米国での事例では、プロセス統合パックを使って統合を実現した場合、15~30%のコスト削減効果が得られたとしている。

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