(株)SEEBOXは5日、“無限のビジネスチャンスが広がる「映像CMS」の世界”と題するイベントを、東京・千代田区のベルサール九段で開催した。
映像CMSとは、動画コンテンツの登録/管理/配信システムのこと。同社は2005年11月に企業向け動画投稿/配信サービス“SEEBOX STUDIO”を開始。ちなみに、その1ヵ月後に“YouTube”のベータ版が開始されたが、同社はあくまで企業向けサービスを意識していたという。そして今年の8月10日に“SEEBOX STUDIO Enterprise”(シーボックススタジオエンタープライズ)という映像CMSを企業向けに提供する。
Web 2.0時代のネットコンテンツの在り方とは?
イベントでは、SEEBOX STUDIO Enterpriseの紹介やケーススタディー紹介などが行なわれた。また、基調講演として専修大学のネットワーク情報学部教授である福冨忠和氏が登壇し、Web 2.0以降のコンテンツビジネスについての考えを披露した。
同氏は、現在のブロードバンド普及率は、在京テレビ局の視聴者数と同等であるとしながらも、現在のネットコンテンツの利用普及率では、放送やパッケージメディアの市場を駆逐するには50年から100年かかると指摘。
その上で、今後のネットコンテンツの収益モデルについて、2つの方向性を示した。1つはコンテンツで儲けるのではなく、それに関連するモノの売り上げで収益を上げる方法。例として同氏は米アップル社を挙げ、「iTunesで販売している1曲の値段が150円。計算してみるとCDシングル程度の著作権使用料を払うとほとんど儲からない」が、「Apple Storeで買ったものを聞くためにiPodをみんな買う。ほとんどメモリーだけでできているもの(iPod)を2万円という値段で買うものですから、それで十分収益が出る」のだという。
もう1つは“マルチユース”(コンテンツの再利用)で、例えば映画コンテンツをテレビやDVDソフトにするといったことが挙げられるが、それだけではなくキャラクターの商品化展開(マーチャンダイジング)や、シナリオの改変による新たなコンテンツの創作なども現在では盛んだという。ただしマルチユースの割合について、日本ではあまり伸びていないの現状だという。例えば、ドラマや映画、音楽、書籍といった日本のコンテンツは海外市場ではほぼ赤字状態で、その赤字をゲームが埋めている状態だという。
ブログやソーシャルネットワークサービス、動画共有サイトといった“CGM”(Consumer Generated Media)については、ポータルの機能としては一般的のものとなっているが、収益面ではインセンティブのみなので、YouTubeのような規模の大きなサイトでなければビジネスになっていないと指摘。その上で同氏は1つの方向性として、「自分が作った映像をそこで売る」といったようなCGMの中に収益モデルを盛り込むことを提案した。