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電話機ではなく、ソリューションを提供する――ノキアが取り組むエンタープライズ事業

2007年06月26日 20時58分更新

文● アスキービジネス編集部

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ノキア・ジャパンは6月26日、東京都内で報道関係者向けにエンタープライズ・ソリューションズ事業部の事業説明会を開いた。今年3月に同事業部の責任者に就任した荒井真成氏が、今後の事業展開の方向性を語った。


端末・セキュリティ・ミドルウェアの3つを提供するES事業部


電話機ではなく、ソリューションを提供する ――ノキアが取り組む...

ノキア・ジャパン エンタープライズ・ソリューションズ事業部のカントリージェネラルマネージャー 荒井真成氏

 「電話機ではなく、長く使ってもらえる企業ソリューションをパートナーとともに提供していく」――。ノキア・ジャパン エンタープライズ・ソリューションズ事業部のカントリージェネラルマネージャーである荒井真成氏はこう強調する。

 携帯電話端末の世界市場でナンバーワンのシェアを持つノキアは、国内でもソフトバンクモバイル向けの端末を販売しており、端末メーカーとしてのイメージが強い。だが、ノキアは端末の製造・販売以外にも、モバイル関連のさまざまな事業に取り組んでいる。その1つが、企業向けのシステム製品を展開する「エンタープライズ・ソリューションズ」(ES)事業である。

 ノキアがES事業部を立ち上げたのは、2003年のこと。「今後、企業の中のデータがどんどんモバイル化されていく。その際、さまざまなデバイスを統合し、安全に企業内のデータにアクセスできるソリューションを提供しようというのが、事業立ち上げの狙いだった」と荒井氏は語る。

 ではそのES事業部が提供する「ソリューション」とは何か。それは、企業内の情報にアクセスするための「モバイルデバイス(端末)」、アクセス時の経路を守る「セキュリティ」、データベースやシステムの違いを吸収するための「ミドルウェア」――の3つである。

 モバイルデバイスでは、昨年末に企業向けのキーボード付きスマートフォン端末「Nokia E61」を発売。セキュリティでは、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズと提携し、セキュリティアプライアンス「Nokia IPセキュリティシリーズ」を展開している。ミドルウェアでは昨年、「Intellisync Mobile Suite」を手がけるインテリシンクを買収した。

 こうした3つの分野の製品と、構築支援などのサービスとを組み合わせ、SIパートナーとともに提供していくのがES事業部が手がけるソリューションとなる。


グローバルのリソースを使い、日本のニーズに応える


 ES事業部の今後の事業方針として、荒井氏が再三強調するのは、「日本市場に合ったものを提供する」ということだ。荒井氏は、「日本市場は世界的にも非常にユニーク。これにきちんと対策していくことが大切だ」と話す。たとえば、品質に対する要求の高さ、徹底されたパートナー販売制度、独自規格・言語への対応といった点が日本と海外とでは大きく異なるという。

 そこで、「グローバルな開発力と製品提供力といったリソースを使いつつ、日本のニーズに合った製品・サービス・プログラムとしてカスタマイズして提供していく」(荒井氏)。

 具体的には、新組織「ビジネスディベロップメントチーム」を設置。日本の顧客やパートナーの声を直接吸い上げ、フィンランド本社や製品開発部隊に対してフィードバックしていく。また、専任の営業体制を構築し、従来サポートに割いていたエンジニア要員をより付加価値の高いサービスへとシフトさせる。「ソリューションの導入計画から実際の導入、廃棄までのライフサイクル全体をカバーする体制になる」(プロダクト&ビジネスディベロップメント ディレクターの新免泰幸氏)。

 さらに、パートナー向けの施策も強化する。ノキアは、グローバルでシスコやアバイア、SAP、オラクルといった企業とすでに協業しているが、国内ではこれに加えて日本法人独自のパートナー企業を獲得。共同マーケティングや、パートナー向けのセミナーなど、支援策を充実させる。

 荒井氏はもともと、インテリシンクの日本法人代表を務めており、買収によってノキアに参画した人物。「日本のユニークな市場の状況を本国に伝えることを、これまで長い間やってきた。その実績が買われたのではないかと思う」と話す。「成果が出るにはまだ先になるだろうが、ここ数カ月ですでにさまざまな施策を打っている」(荒井氏)。

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