セカンドライフ(Second Life、略称SL)が世界中でブームになっている。日本においても、IT系以外の一般メディアが紹介するほど注目を集めているのはご存じのとおりだ。
中国でも盛んに取り上げられるセカンドライフ
中国メディアは、国外の斬新かつ先進的なサービスをいち早く紹介するのがお手のものだ。
もちろんセカンドライフも例外ではなく、すでに多数のメディアが取り上げている。ただしその内容は基本的なものだけで、「セカンドライフっていうのが、世界中で人気で、こんなゲームですよ」といった程度のものがほとんどだ。実際に英文のウェブページでユーザー登録し、ソフトを起動し、サービスを開始するまでの手ほどきを行なうような解説記事は、あまり見かけない。
日本ではちょっとした話題になっているセカンドライフだが、中国での認知度はかなり低い。パソコンに詳しい中国人数名に聞いてみたが、セカンドライフを利用したこともなければ、その名前すら知らない人ばかりだった。
リンデンドルという名の仮想通貨が稼げ、かつそれをリアルなお金に換金できるのだから、ゴールドファーマー*というシステムがある中国なら、セカンドライフもさぞかし人気を集めるだろうと思うが、そうではないのだ。
* 1ドルの価値は、日米と中国ではぜんぜん異なる。1ドルでもかなりぜいたくな食事ができるのだから。
中国人が、セカンドライフでRTMしない理由
ゴールドファーマーとは、ゲーム内の仮想通貨を稼ぐためだけに、オンラインゲームをプレーする人々のこと。プレーヤーの多くは、中国の貧しい農村に住んでおり、中国大陸の業者、在外華僑、日雇いの農民などが連携して成り立っている。特に世界的に人気のあるオンラインゲーム“World of Worcraft”で多いといわれている。
想像するに、ゴールドファーマーは敵を倒して金を稼ぐ単調な作業なので成り立っている面があるように思う。セカンドライフ内でお金を稼くには、敵を倒すよりも、かなり高度なアイディアや創造性が必要になる。また、日本は“ものづくりの国”、中国は“商人の国”とも言われるように、創造的な活動はそれほど得意分野ではないのかもしれない。
こういった要因が重なって、中国人には金稼ぎがしづらいサービスなのではないか、と思う。
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