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高画素によってさらに完成度を高めたLUMIX

【レビュー】LUMIX DMC-FX100

2007年06月19日 17時47分更新

文● 行正和義

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広角の快適さは何物にも変えがたい魅力

手にとってみると、思いのほかコンパクトな印象を受ける。すでに発売されている1200万画素機のソニー(株)『Cyber-shot DSC-W200』やカシオ計算機(株)『EXILIM EX-Z1200』に比べると、横幅は3~5mmほど大きいのだが、高さが2~3mm低くなっているため、一回り小さく感じる。ボディーの容積面ではEX-Z1200と同程度で、W200が10%ほど大きい。

撮影サンプル1 すっきりした発色のシャープな画像だが、彩度や輪郭強調はそれほど強くないのでややあっさりした印象はあるが、描写はしっかりとした画質となっている。プログラムオート、1/800秒、F2.8、ISO 80。元画像は4000×3000ドットで、800×600ドットにリサイズおよびトリミングしたほかは画像補正はかけていない

撮影サンプル2 細部の描写もしっかりしており、周辺部の画像劣化も少ないが、暗い部分に露出を合わせると明るい部分は白とびしやすい。プログラムオート、1/400秒、F2.8、ISO 80

スライド式の電源スイッチを操作すると、軽快にレンズが伸張して撮影可能となる。実際に使ってみると分かるのだが、LUMIXシリーズのモードダイヤルは今まで、回転が硬すぎて回しづらかったり、柔らかくて不用意に回ってしまったりした。しかし、本機ではスムーズに回りつつも、不意に回ってしまうことのない適度にクリック感のあるものとなった。ボタン類も押し応えのある感触で、スペックには出ない部分も細かく改善しているようだ。

実際に撮影してみると、広角28mmという広い画角は、風景や街撮り、スナップなどでの使い勝手がいい。さすがにレンズ周辺部では、像がやや歪んで描写も甘くなるが、大きな画像の劣化や色ずれ、エッジの着色などは見られない。ハイコントラストなシーンでは白とびしやすいなど、階調表現が浅い印象を受けるものの、コンパクト機としてはまずまず良好と言えるだろう。

撮影サンプル3 最広角で撮影。広いエリアを1枚に収めるような用途では、広角28mmは魅力だ。プログラムオート、1/160秒、F9、ISO 80

撮影サンプル4 最大望遠(3.6倍、100mm相当)で撮影。イージーズームボタンを押せば、最大望遠までワンタッチでズームする。プログラムオート、1/640秒、F5.6、ISO 80

撮影サンプル5 EX光学ズームの最大望遠(7倍、196mm相当)で撮影。300万画素になるものの、メニュー等で記録画素数を変更することなく、イージーズームボタンをもう一度押すだけでこのモードに切り替わる。記録画素数を戻し忘れるといったこともない。撮影画像は当然ながら、サンプル4からサンプル5と同じ画素数分の画像をトリミングしたのと、ほぼ同じ情報量となっている。プログラムオート、1/800秒、F5.6、ISO 80。元画像は2048×1536ドット

撮影サンプル6 撮影サンプル5のEX光学ズーム最大望遠から、もう一度イージーズームボタンを押すと、さらにデジタルズームを行なうことができる。この状態では、記録画素数は300万画素のまま、画素を補間するタイプのデジタルズームを行なう。そのため画質は荒くなる。プログラムオート、1/800秒、F5.6、ISO 80。元画像は2048×1536ドット

コンパクトデジタルカメラの高画素化の流れは止まらないが、一昔前のような“高画素=高画質”という安易な認識が減ってきたのは確かだろう。そんな状況下に相次いで発売される1200万画素コンパクト機は、最大画素数での解像感よりも、デジタルズームなどのにように、撮像素子で得た画像の一部をトリミングするような使い方でも十分満足のいく画質の画像が得られることを、大きくアピールしているように見受けられる。

撮影サンプル7 高速連写モード(シーンプログラムから選択)を使用。フルサイズ画素数で撮影する標準連写でも、毎秒3コマとかなり軽快で、とくに露出ブラケット撮影を利用しやすい。8コマ/秒連写では、記録画素数は200万画素になるが、連写速度が速いので撮り逃したくない被写体に使える。記録枚数はSDメモリーカードの転送速度によっても左右されるが、高速なカードでは約50枚の連写ができる。元画像は1600×1200ドット。800×600ドットにトリミングした以外のレタッチは行なっていない。シーンプログラム、1/1000秒、F5.6、露出補正-0.7EV、ISO 800

その点を考えれば、FX100が搭載するイージーズームボタンは、デジタルズーム(トリミング撮影)を併用することを前提した使い方を提案するもので、単に高画素化しただけでなく、高画素を生かした新しいデジタルカメラのあり方を模索していると言えるだろう。手ぶれ補正付きコンパクト機に広角レンズの使い勝手の高さを、従来のFXシリーズから継承しつつ、高画素化に加えて高速連写など、細かく機能を向上させている点は高く評価したい。

撮影サンプル8 夜景を撮影。低感度ではノイズも少ないが、感度を上げるとかなりノイズが載ってくる。いずれもプログラムオート。右写真の左側はISO 80、1秒、F2.8。中央はISO 400、0.62秒、F2.8。右側はISO 1600、1/8秒、F2.8。左側のリサイズ画像はISO 400で、リサイズするとノイズは目立たない

撮影サンプル9 高感度モード(シーンプログラムから選択)を使用。記録画素数は300万画素でフルサイズの1/4になってしまうが、光学式手ぶれ補正を併用すれば、手持ちでもなんとか撮れる程度のシャッター速度となる。ノイズはかなり抑えられるものの、輪郭のシャープさや細部描写はやや落ちてしまうのが残念。シーンプログラム、1/13秒、F2.8、ISO 3200

LUMIX DMC-FX100のスペック
製品名 DMC-FX100
撮像素子 1/1.72インチ 有効1220万画素CCD
レンズ 光学3.6倍ズーム、f=6~21.4mm(35mmフィルムカメラ換算時:28~100mm)、F2.8~5.6
静止画撮影 最大4000×3000ドット
ISO感度 オート、ISO 80/100/200/400/800/1250/1600(高感度モード時はISO 1600~6400)相当
動画撮影 最大1280×720ドット、15fps、QuickTime Motion JPEG形式
ディスプレー 2.5インチTFT、約20万7000画素
記録メディア 内蔵 約27MBフラッシュメモリー&SDメモリーカード(SDHC対応)、MMC(静止画のみ)
インターフェース USB、AV出力
電源 リチウムイオン充電池(DMW-BCC12)
撮影可能枚数 約320枚(CIPA規格)
本体サイズ 96.7(W)×24.5(D)×54(H)mm
重さ 約148g(本体のみ)/約176g(装備重量)

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