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マイクロソフト、スマートフォン向けOS『Windows Mobile 6』を提供開始

2007年06月06日 20時21分更新

文● 編集部 小西利明

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マイクロソフト(株)は6日、スマートフォンなど携帯端末向けOS『Windows Mobile 6』を端末機器メーカーに提供を開始したと発表した。電子メールやウェブブラウジング、セキュリティーなど多くの機能が強化されている。

『Windows Mobile 6』に対応する韓国サムスン電子社の薄型スマートフォン“Blackjack”

『Windows Mobile 6』に対応する韓国サムスン電子社の薄型スマートフォン“Blackjack”。残念ながら日本では発売されていない

Windows Mobile 6の“Today”画面

Windows Mobile 6の“Today”画面。ウェブブラウザーを開かずに、Windows Liveサーチで検索を行なう機能も統合されている

同日、東京都内にて開かれた開発者向け会議“Microsoft Mobile&Embedded DevCon 2007”では、米マイクロソフト モバイルコミュニケーションビジネス ジェネラルマネージャーのトニー・メストレス(Tony Mestres)氏や、マイクロソフト執行役常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏らによる基調講演が行なわれ、Windows Mobile 6の特徴などが説明された。

トニー・メストレス氏

米マイクロソフト モバイルコミュニケーションビジネス ジェネラルマネージャーのトニー・メストレス氏

佐分利ユージン氏とWindows Mobile 6対応端末や対応サービスを展開するパートナー企業幹部

マイクロソフト執行役常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏(右)と、Windows Mobile 6対応端末や対応サービスを展開するパートナー企業幹部

基調講演の冒頭でメストレス氏は、Windows Mobile搭載スマートフォン市場の現状について述べた。同市場は成長率が非常に高く、2006年度にはワールドワイドで600万台に達し、2007年上半期中にさらに500万台の上積みを見込んでいるという(マイクロソフトの会計年度は7月開始)。スマートフォン市場が立ち後れていると言われていた日本でも、年内に100万台の出荷を目指すとメストレス氏は述べて、国内でもスマートフォン市場に大きく力を入れていくことを示した。

マイクロソフトでは、Windows Mobile対応スマートフォンは急速に広がっているとしている

マイクロソフトでは、Windows Mobile対応スマートフォンは急速に広がっているとしている。2008年度には2年前の3倍を超える台数まで伸びると予測している

Windows Mobile 6の特徴に挙げられているのは、以下の3点である。いずれもビジネスユーザーや企業システム用の端末として求められている要素と言える。

モバイルメッセージング機能の強化
電子メール機能の強化
ウェブエクスペリエンスの向上
Windows Liveサービスとの統合と、Internet Explorer Mobileの機能強化
セキュリティー・開発性の強化
ストレージの暗号化、ポリシーベースの運用管理、.NET Compact Framework 2.0標準対応など
Windows Mobile 6の3つの特徴

Windows Mobile 6の3つの特徴。ビジネスユーザーにニーズの高い機能が多い

Windows Mobile 6の目的

スマートフォン市場を携帯端末を使いこなすインフォメーションワーカーに広げることが、Windows Mobile 6の目的である。

また、Windows Mobile 6には3種類のエディションが用意されており、端末メーカーは機器に合った機能を備えるエディションを選択可能となっている。標準対応の機能であっても、オプションコンポーネント扱いの機能については、搭載しないという選択も可能である。

Windows Mobile 6 Standard
音声通話主体の通信端末向け。タッチスクリーンUIなどの機能は備えない
Windows Mobile 6 Professional
データ通信主体でタッチスクリーンを備える通信端末向け
Windows Mobile 6 Classic
常時通信機能を持たない“非接続型”の端末向け。タッチスクリーンを備えるPDAなど
Windows Mobile 6の3種類のエディションと搭載する機能の違い

Windows Mobile 6の3種類のエディションと搭載する機能の違い。オレンジ色のバックの機能はオプションコンポーネント

Windows Mobile 6で重視されているのは、ビジネスユーザー向け携帯端末としての利便性やセキュリティーの向上と言える。電子メール関連の強化はその好例で、パソコン用のOutlookシリーズに近い機能の実現や、Exchange Serverとの連携などに現われている。組み込みの電子メールソフト“Outlook Mobile”は、HTMLメールの表示やスペルチェック機能が実装されたほか、予定表を見やすくなるなどの改良が行なわれた。またExchange Server上にあるメールアイテムを対象に検索を行なう機能や、Exchange Server経由でSharePointサービス上にある共有ファイルにアクセスする機能も加わった。

メッセージング機能の主な強化点

メッセージング機能の主な強化点

検索関連も強化された

検索関連も強化され、サーバー上にあるメールや電話機上の通話履歴まで、高速に検索できる

また、組み込みのOfficeソフト“Word Mobile”“Excel Mobile”“PowerPoint Mobile”などは、パソコン用のOffice 2007で作成されたOffice 2007形式のファイル(.pptxなど)を扱えるようになった(Office Mobileはオプション扱いの機能で、製品によっては付属しない場合もある)。

PowerPoint Mobileでスライドデータを表示した様子

PowerPoint Mobileでスライドデータを表示した様子。PowerPoint 2007で作成されたデータのようだ

ウェブエクスペリエンスに関する機能強化点としては、まずWindows Liveサービスへの対応“Windows Live for Windows Mobile”が挙げられている(オプション扱い)。従来は別途提供されていた“Windows Live Messengerが付属したほか、ウェブベースのメールサービス“Windows Live Hotmail”、ウェブ検索サービス“Windows Live サーチ”、ブログサービス“Windows Live スペース”なども利用できるようになった。

ウェブ関連機能の強化点

ウェブ関連機能の強化点

Internet Explorer Mobileも機能強化が図られ、Ajaxを使用するウェブページを表示できるようになった。すでにウェブサービスでAjaxを利用するものは多く、待ち望まれていた強化点と言える。そのほかに、ウェブページのレンダリングスピードが高速化されたほか、高解像度のディスプレーを持つデバイス向けの高解像度対応などが図られた。ただし、タブブラウジング機能などは採用されていない。

セキュリティー面では、メモリーカードの暗号化がまず挙げられた。またExchange Serverとの連携により、端末に制限(パスワードのポリシーや有効期限など)をかけたり、ウェブベースの電子メールサービス“Outlook Web Access”を利用して、リモートで端末のデータを消去するなど、紛失・盗難時の情報漏洩を抑止する機能が搭載されている。

ソフトウェア開発に関する面では、.NET Compact Framework 2.0 SP1の標準搭載が挙げられる。.NETベースアプリケーションの開発と使用が容易になる。また“リモートデスクトップモバイル”機能も搭載された。WindowsパソコンにWindows Mobile 6端末からログインして、パソコン上のアプリケーションやデータを利用できる。

Windows Mobile 6上でカスタムアプリケーションを使用するデモ

Windows Mobile 6上でカスタムアプリケーションを使用するデモ。開発ツールには既存の『Visual Studio 2005』のほかに、次世代の『Visual Studio 2008』も利用可能になる

『Windows Media Pleyer 10 Mobile』

『Windows Media Pleyer 10 Mobile』。バージョンは変わらないようだが、見た目がパソコン用の『Windows Media Player 11』に近いデザインとなっているようだ

Windows Mobile 6対応のスマートフォンとしては、すでにソフトバンクモバイル(株)が対応製品を複数発表している。また(株)ウィルコムも、7日発表予定の端末でWindows Mobile 6 Classicを採用することを公表している。

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