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不審なサイトをドメインで判断――トレンドマイクロ、企業向けウイルスバスターの新版を発表

2007年06月04日 17時53分更新

文● アスキービジネス編集部

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トレンドマイクロは6月4日、企業向けウイルス対策ソフト「ウイルスバスター コーポレートエディション」の新版を発表した。新たに「Webセキュリティサービス」をオプションとして用意するほか、今後、有償のプラグインも提供していくという。


プラグインで機能追加が可能に、サードパーティのプラグインも計画


不審なサイトをドメインで 判断――トレンドマイクロ、企業向けウ...

トレンドマイクロ プロダクトマネージャーの小林伸二氏

 「ウイルスバスター コーポレートエディション」は、クライアント/サーバ型の企業向けウイルス対策ソフト。アンチウイルスに加え、スパイウェアやアドウェアなどのマルウェアの検出にも対応した総合的なセキュリティ対策製品である。

 新版となる「ウイルスバスター コーポレートエディション 8.0」の最大の強化ポイントは、オプションとして「Webセキュリティサービス」(WSS)を用意したことだ。WSSは、スパイウェアの検出・削除やウイルスに感染したコンピュータの自動復旧を行なう「ダメージクリーンナップサービス」として従来、提供していたもの。これに新機能となる「Webレピュテーション機能」を追加し、名称を改めた。

 WSSの核となるWebレピュテ―ション機能とは、Web閲覧時や不正なプログラムがHTTP接続を試みる際に、URLを同社のデータベースと照会し、信頼性が低いサイトの場合に接続を遮断する機能である。基本的な動作原理はいわゆるURLフィルタリングに近いが、「評価がダイナミックに変更できる仕組みが特徴」(トレンドマイクロ プロダクトマネージャーの小林伸二氏)となる。

 具体的には、Webレピュテーション機能では、URLではなくドメイン単位でWebサイトの信頼性を機械的に評価する「Web評価データベース」を利用する。同データベースは30分間隔で更新され、ドメインが取得されたばかりではないか、ネームサーバやIPアドレスが頻繁に変更されていないか、特定のネームサーバが複数のドメインに割り当てられていないか――といった傾向に対してスコアリングしていく。スコアによって4段階のセキュリティレベルが定義されており、導入企業側でどのレベルでブロックするか指定できる。

WSSのWebレピュテーション機能の設定画面(左)。4段階のセキュリティレベルから選ぶことができる。(右)は実際にブロックされた際に表示されるメッセージ

 こうした新機能を導入した背景には、HTTP経由でダウンロードされるマルウェアやスパイウェアといった「Webからの脅威」(同社)が急増していることが挙げられる。小林氏は、「悪意のあるサイトは次々とURLが変わるケースが多く、URL単位の従来型のフィルタリングではもはや対応できない」という。また、「パターンファイルの更新によるマルウェア対策も継続していくが、短期間に数百もの亜種が増殖するような昨今では、対策が間に合わないことも多い」とも話し、頻繁に情報が更新されるWSSの有効性を訴えた。

 新版ではこのほか、「プラグイン対応フレームワーク」が追加された。これまで新機能の追加はメジャーバージョンアップのタイミングに限られていたが、プラグインを利用することで、導入企業が必要に応じて新機能を追加できるようにする。詳細は現時点では明らかにされていないが、「数社と話し合いを進めており、他社からもセキュリティ関係のプラグインがリリースされる予定」(小林氏)という。価格体系は未定だが、原則として有償での提供となる見込みで、第1弾はバックアップのプラグインを今年後半にリリースする計画だ。

 ウイルスバスター コーポレートエディションの価格(税別)は、3万6000円/5ライセンスから。ファイアウォール機能とWinny対策ツールが付属する「アドバンス版」は4万9000円/5ライセンス、「サーバ版」は6万9000円/20ライセンスからとなる。オプションのWSSは、1万6000円/5ライセンスである。

 販売開始は6月28日の予定で、同社では今後1年間で150億円の売上を目指すという。

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