東京都心から西へ50km。(株)東芝の青梅事業所がそこにある。ノートパソコンやHDDなどの製品を、開発から生産まで一貫して担当している同社の重要拠点だ。5日に同社が満を持して発表した堅牢モバイルパソコン“dynabook SS RX1”も、ここで開発が行なわれた(関連記事)。薄さ・軽さと堅牢性のあくなき追及や、青空の下でもくっきり見やすいディスプレーなど――RX1に秘められた“巧み”の工夫に迫る!
世界最薄・最軽量はどうして実現できたのか
RX1は、3つの“世界一”と3つの“世界初”を実現しているという。
3つの世界一
- 光ドライブなし、3セルバッテリー搭載モデルで約768g(企業向けモデル)、光ドライブあり、6セルバッテリー搭載モデルで約963gの軽さ
- 2スピンドルモデルで19.5mmという薄さ
- メインストレージにフラッシュメモリーを利用した“SSD”(Solid State Disk)を採用する6セルバッテリー搭載モデルで約12.5時間のバッテリー駆動時間(Windows Vistaにおいて)
3つの世界初
- 12.1インチワイドの半透過型液晶ディスプレー
- 薄さ7mmの光ドライブ
- 64GBという大容量のSSD
軽量化を実現するため、RX1シリーズではコア基板の小型化に着手。あらゆる部品を見直し、精査していった結果、ほかのメーカーの堅牢モバイルノート(Let'snoteやVAIO type G)や自社の従来機(dynabook SS)と比較して、25~50%程度の小型化に成功したという。また、自社/他社ノートでは0.7~0.5mmの肉厚となっているシャーシ(筐体)においては、0.45mmの肉厚を実現した。素材はマグネシウム合金を採用している。
肉厚の薄いシャーシで堅牢性を維持するため、いくつかの工夫がなされている。厚さ7mmの光ドライブや液晶パネルを保護するため、シャーシ内部に突起(リブ)を配置して強度を補完。さらに、HDDの下方にあたる部分にはドーム状のふくらみを持たせ、強度を高めている。この結果、75cm(人の腰の高さ)からの落下試験をクリアしたという。
そのほか、筐体設計においてはネジの削減を実施。CPUの冷却モジュールもバネを使用しない構造を採用するなど、筐体設計を見直すことで最軽量化を達成した。そして、これらを可能にしたのは同社が長年培ってきた構造解析の技術と金型製造の技術だという。
SSD搭載モデルでは、HDD搭載モデルよりも70gの軽量化を果たしているほか、耐衝撃性が2倍に、OS起動速度が約24%向上。さらに消費電力を12%削減でき、HDDの寿命によるデータ損失の危険性もなくなったという。