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エプソンは最高裁に上告へ

インクカートリッジ特許訴訟、知財高裁がエプソンの請求を棄却

2007年05月30日 20時43分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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セイコーエプソン(株)と(株)エコリカの間で争われていた特許侵害訴訟について30日、知的財産高等裁判所でセイコーエプソンの控訴を棄却する判決があった。これは、エプソンの特許が“特許法に定める分割出願の要件を満たしていない”と認定し、それに基づき特許は無効であるとしたもの。

この結果に対して両者とも同日コメントを出している。セイコーエプソンは、「この判決は特許法の誤った法令解釈に基づく不当なものと考えられるため、当社は最高裁判所に上告受理の申立てをする方向で検討中です。(中略)当社における知的財産保護の活動は、あくまでも法令や企業倫理に違反することなく経営を行う"遵法経営"に則り、他社の権利を尊重すると共に、自社の権利も尊重していただきたいとの考えに基づくもので、非純正品を否定するものではありません。」としている。

一方、エコリカは、「単に環境に良いからとの理由でメーカーの保有する特許を無視しても良いと言っている訳ではありません。(中略)今回の知財高裁判決は、純正品メーカーがリサイクルインクを封じ込めるために、特許の権利範囲を不当に拡大して権利行使を行ったことに対して特許自体を無効とすべきと判断したものであり、環境保護とリサイクル促進の法律が整備され、官民あげてリサイクル品の調達の必要性が叫ばれている社会情勢とも合致した極めて妥当な判断であるといえます。(中略)しかし、今回の知財高裁判決は、リサイクルと特許権の消尽と言った問題や「プリンターメーカーが回避できない特許をインクカートリッジの中に埋め込む」「リサイクルしにくい形状を採用する」「インクカートリッジの中にIC-Chip等を埋め込み、その内容を暗号化・複雑化する事によって詰め替えインクやリサイクルインク等の市場参入を拒む」ことなどの純正品メーカーがリサイクル対策として行っていることまでは争点となっておりません。(中略)今回の審理において、これらの争点が環境とのバランスを含めて論議が出来なかった事は、我々リサイクルメーカーにとって非常に残念です。」とコメントしている。



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