【その1】かっこいいユーザーインターフェース
一番、最初に気付くのは、そのかっこいいユーザーインターフェースだ。カーソルを画面の隅に寄せるとフワっと半透明のボタンやアイコンが現れる様子は、まるで少し前の近未来SF映画やMac OS X、Windows Vistaの画面を思わせる。
こうしたユーザーをワクワクさせるかっこいいユーザーインターフェースは、Web 2.0の文化にも共通している。アップルのMac OS XやiTunes、そして凝ったAjaxのユーザーインターフェースを活用したユーザーインターフェースが広まったことで、人々はユーザーインターフェースの美しさがいかに重要か気づき始めた。これからの時代のサービスは、機能だけでなく、心地よさや見た目の美しさといったものも無視できない要素だ。
WiiやPlaystation 3を触ったハッカー達が誕生させた“Rimo”や“darao”といったサービスも、こうしたトレンドをよく理解していたが、Joostのユーザーインターフェースもかなり洗練されており、触っているだけで楽しく、心地よい。
【その2】ユーザーが増えるほど強い“P2P”
Joostの2番目の凄さは、そのスムーズで美しい動画再生にある。うたぐり深い人の中には、まだβ版サービスでユーザーが少ないから、きれいに再生できているだけで、今後、ユーザーが増えれば遅くなるはずだと思っている人もいるかもしれない。
実際、YouTubeをはじめとする、多くのサービスがユーザーの拡大に伴って、サーバーへの負荷が重くなり、再生がスムーズにいかないなどの障害を経験している。それでも高品質な動作を提供しようとすると、サービス提供社に多大な負担がかかってくることになる。
しかし、実はここがJoostのすごいところ。同サービスを開発したのは『Kazaa』や『Skype』をつくったヤヌス・フリース氏とニクラス・ゼンストローム氏の2人で、前の2つのサービス同様、サーバーにそれほど依存しないP2Pの仕組みで作られている。
KazaaやSkype、そして最近、米国の多くのサービスで大容量ファイルのダウンロードに利用されるBitTorrentがそうであるように、P2P技術を基盤にしたサービスは、利用者が増えるほど動画の転送負荷が分散され効率的になってくる。
そういう意味で、JoostはYouTube、Google Videoといった、Google系サービスにも勝てる可能性を秘めており、期待が集まっている。
【その3】追い風となるコンテンツホルダーの参加
だが、どんなにシステムがすごくても、結局のところ一番大事なのは見たいと思わせるコンテンツがあるかどうかだが、Joostはこの点でも恵まれている。
今はエッジの効いたインディーズ系、マイナー系のチャンネルが多いが、ビキニ姿の美人写真で人気の“Sports Illustrated”の番組や、アードマン・アニメーションのクレイアニメーション作品集といった強い魅力を持つコンテンツも提供されている。
さらに最近ではCNN、ワーナー・ブラザーズ、ソニー・ピクチャーズ、NHL、さらにはMTVやコメディー・チャンネル、ブラック・エンターテイメント、パラマウント・ピクチャーズといったブランドを持つバイアコム(Viacom)、ブラッド・ピット、キャメロン・ディアス、スティーヴン・キング、ビヨンセなど有名な俳優、作家、アーティストの代理人を務める米大手芸能エージェントのクリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー(Creative Artists Agency、CAA)といった大手企業との契約を次々と結んでおり、超メジャーな番組も続々スタートしそうな雰囲気を漂わせている。加えて広告でもコカ・コーラ、インテル、ナイキやマイクロソフト、米軍などの大手と契約を結んでいる。
(次ページに続く)
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