社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は25日、同協会会長の秋草直之氏が任期満了により会長を退任すると発表した。新しい会長にはシャープ(株)の代表取締役会長である町田勝彦(まちだかつひこ)氏が就任する。
今回の発表は25日に行なわれた通常総会の結果を受けて行なわれたもの。秋草氏は富士通(株)の代表取締役会長で、2006年5月にJEITA会長に就任。規定どおり1年間の任期を終えて辞任した。
秋山氏は「(環境問題や通信問題など)いろいろやったつもりではいるが、1年という任期もあり、やりっぱなしで(町田氏に)引き渡す形になった」と語り、早々に会場を後にした。
町田氏は1969年に早川電機工業(株)(現シャープ)に入社後、テレビ事業部長や家電事業統轄、海外事業統轄、代表取締役社長などの役職を経て、今年4月にシャープの代表取締役に就任した。
町田氏はJEITAの今年度の活動について“イノベーション”と“オープン”の2つのキーワードを挙げた。“イノベーション”については、環境問題やエネルギー供給を挙げたほか、2011年に完全移行する地上デジタル放送について「スムーズに移行させること」が重要課題だとした。また、税制などについても研究が必要で、特にサービス産業の生産性向上の必要性を訴えた。「(日本は)製造業は進んでいるが、サービス産業は欧米諸国と比較して劣っている」とし、サービス産業に製造業のノウハウを投入することで、サービスの生産性を向上させたい考えを示した。
“オープン”については薄型テレビの世界市場を一例に挙げ、売り上げ40兆円のうち、その半分は海外での売り上げで「通商環境のオープン」性が重要だとした。「オープンでフェアな通商環境」作りのため、日米欧との対話を続けていくという。
やっぱり話題は薄型テレビの方向に
町田氏がシャープの会長ということで、記者からの質問はテレビ関係の事項に集中した。テレビ市場について同氏は、全世界のテレビの売り上げのうち、薄型液晶テレビは30%程度にとどまっており、まだまだこれからであるとした。現在、地域によって画面サイズの需要が異なっており、たとえば米国や中国は51インチ以上、日本や欧州は20インチクラスが売れ筋だという。しかし、壁掛け型など薄型テレビの形態が変わってくれば、現在考える以上により大きいサイズのテレビの需要が増える可能性もあり、そのあたりが「難しい」と語った。
海外の液晶テレビ製造メーカーについては「裏の事情はわかりませんが」と前置きした上で「(台湾勢と比較して)韓国が弱くなり始めている」と指摘。韓国メーカーが部材などを台湾メーカーから購入しているが、今後はパネル製造の競争から「装置、部材の競争に変わっていく」とし、「(装置や部品の製造が)国の産業として育っていくことが重要」と語った。
そのほか、有機ELディスプレーについては「(液晶ディプレーと比較し、製造面では)お好み焼きの上に“イカ”を乗せるか“ブタ”を乗せるかぐらいの違い」だとし、設備投資はほとんどかからないとした。ただし、製品寿命の問題などがあり、準備はしてるものの「しばらくはやる気はない」とした。