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「ゲーム市場まだ伸びる余地ある」――スクエニ和田社長

2007年05月23日 00時00分更新

文● 編集部

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和田社長

和田社長

 (株)スクウェア・エニックスの2006年度(2007年3月期)の決算説明会が、23日に開催された。海外市場で『FINAL FANTASY XII』(北米168万本、欧州110万本)など、ビッグタイトルが好調な売れ行きを示し、売上は前年比31%増の1634億7200万円。経常利益も過去最高となる155億4700万円(前年比68%増)を計上した。

 説明会に出席した和田洋一代表取締役社長は「まんべんなく成果が出た1年」と2006年度を総括した。会見では、AM事業(完全子会社化したタイトーの事業)の収益性をどう改善していくかという部分が中心となったが、2010年に経常利益500億円を達成するという同社の目標と、それに関連したゲーム、モバイル、オンラインゲームなど各事業セグメントの展望に関して語られる一幕もあった。



北米・欧州市場進出で、チャンスは4~5倍に増える


 ゲーム事業に関して和田氏は、

「ゲーム事業は過去には150~200億円程度の利益を出していたが、2005~2007年はマーケットの縮小や利益率の低下などで120~150億円に落ちている」

としたが、

「今後の方向性としてはIP(知的財産権)のゲーム/ゲーム以外の分野への多角展開なども考えられるが、やっぱり海外だ。まだまだ相当な余地がある」

と海外市場進出への意欲を示した。

 同時に和田社長は従来スクウェア・エニックスが国内市場中心にした戦略を取ってきたことや、ゲームソフト市場のなかで日本市場の占めるパーセンテージは15~20%に過ぎない点にも言及。「これまで残りの80%に対するアプローチが弱かった。逆に言えば4~5倍のマーケットがあるということ」とし、2010年にゲーム事業だけで、経常利益200億円を達成したいとした。

 2006年度は、同社の全ソフト販売本数1693万本のうち、日本市場向けは721万本(全体の43%)。地域別としては依然首位であるものの、北米が615万本(36%)、欧州が350万本(21%)と、日本をのぞくアジア地域が7万本と海外市場の比率が高まっている。



ニンテンドーDS用のドラクエ、東京ゲームショーでのプレイアブルは……


 また、2007年度に発売するゲームタイトル、特にドラゴンクエストに関しては、

 「昨年末に『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー』という通信対戦を利用した従来とは違うテイストの製品を出した。今年度はさらに低年齢層をターゲットにしたアーケードゲーム『同バトルロード』をリリースする。そのあとにはWii向けに体感型の『ドラゴンクエストソード』。こういった一連の流れを作った上で、ニンテンドーDS向けの『ドラゴンクエスト9』(DQ9)を出す」

 と、シリーズの多角展開を重視していく戦略を示した。発表会では「ドラゴンクエスト9のプレイアブルデモを秋の東京ゲームショーに間に合わせられるか」という質問や「価格引き上げを行なうという話もあるが」という質問も飛んだが、これらに対しては

「東京ゲームショーでプレイアブルが出せるかどうかは分からない。販売時期に合わせて検討する」

「ドラゴンクエスト9の価格に関しては言及していない。(携帯ゲーム機であれば3倍の本数が売れるという話もあるが)むしろそっちを狙っていきたい。(前作をリリースした)プレイステーション2は末期で、(適正な価格や中古流通の状況なども)大体分かっていたが、今回は違うんじゃないか。市場の体温を考えながら決めたい」

とコメントした。なお、ファイナルファンタジーシリーズの次回作『FINAL FANTASY XIII』に関しては、「(先日のプライベートショーで)お披露目はしたが、まだもう少しかかる。少なくとも当年度中は無理。発売タイミングを考える」とした。

売り上げ本数の地域別比率

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2010年までの目標

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