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米国IT事情を探る ― 第5回

iPhoneがヨーロッパに進出する際の障壁とは?

2007年05月22日 17時00分更新

文● 遠竹智寿子

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憶測を生む、iPhoneのヨーロッパ展開


 5月21日付けのThe New York Timesが“iPhone騒ぎ”(Much Ado About Apple's iPhone)と題して、ヨーロッパおよびアジア市場でのアップルの展開に関して報道していた。同紙によると、アップルはiPhoneを米国で6月に発売、ヨーロッパでも今年暮れには販売を開始すると発表しているが、ヨーロッパで具体的にどのような企業とパートナーシップを結んで販売や運営を行なうかといった話題が少しも聞こえてこないのだという。

 これは「アップルの強いブランド力を手中に収めたい」ともくろむ、プロバイダー/キャリアー間で利害対立が起こっているためではないかと、同紙は分析する。

 英国の調査会社Canalysが、2000人を対象にしたアンケートによれば、「現在のiPod所有者のうち約半数が、次の携帯電話としてiPhoneを検討している」という。また、英国のShiny Mediaが4月に行なったオンライン調査では、調査対象者のうち25%が「iPhone所有を理由にプロバイダーをスイッチする」と答えたという。



3Gの採用/不採用も大いに関係する


 3G携帯の技術に莫大な費用をかけてきたヨーロッパのプロバイダーたちにとって、iPhoneが3Gに対応するかどうかも大きな関心事のひとつである。

 アップルは米国で売り出すiPhoneには、当初は3G技術を採用しないと言っている。しかし、ヨーロッパ市場で3Gを採用することになれば、HutchisonT-Mobileが優勢だろうとアナリストは言う。ガートナー・ロンドンのアナリスト、キャロリーナ・ミラネージ氏は以下のように話す。

「両社は、コンシューマー市場に3G携帯を提供していくことに最も先進的に動いてきたし、iPhoneに必要とされる未来のビジネスモデルをすでに適材適所に持っている」

 では、ヨーロッパ最大のプロバイダーであるVodafoneはどうか? Vodafoneは、すでにiPhoneに競合する楽曲販売サービスを行なっているため、アップルの思惑にそぐわないのではないかと同氏は見ている。

 一方、仏Jupiter ResearchのアナリストThomas Husson氏は「もしヨーロッパ市場でも当面3Gをサポートしないということであれば、複数キャリアーをまたがったサービスの展開も予想される」と話す。その際には、アップルはキャリアーの割引制度と、リテールビジネスとのバランスも考えないといけないと言う。

「携帯電話キャリアーの報奨金が高くなりすぎると、(アップルが自社の販売網を利用して提供する)より利益率の高いリテールビジネスを殺しかねない。



YouTubeの映像をテレビで見られれば、お金を払う?


 5月17日付けで、eMarketerから出ていたオンラインビデオ視聴についての調査“Watching TV、But Not on TV”についても紹介する。これは13歳以上のネットユーザを対象にしたものだ。

「テレビ以外で、動画を見るデバイスはどれか?」との質問に対して、デスクトップパソコンは75%、ノートパソコンは46%、ポータブルビデオプレーヤーが16%、iPodが13%、携帯電話が13%という結果が出ている。全体の3/4が、(YouTubeなど)パソコン上の動画コンテンツを利用しているという結果だ。

 そのうちの半数が、ビデオコンテンツをテレビに転送したいと考えてはいると答えている(しかし、実際に実行しているのは13%)。残りの半数はテレビに転送できることを知らなかったという。

 また、オンラインコンテンツを視聴する人を対象に「オンラインビデオをテレビに転送ができる装置に対して、100ドル以上支払ってもいいか」と聞いたところ、イエスと答えたユーザは17%に過ぎなかったという。(筆者は“17%”でも結構大きな数字だと感じたが)

 また、別の調査では、12歳から14歳の男女の半数以上が、コンピューター、テレビ、VCR、DVDプレーヤー、携帯電話を一般的に使っているという。こうした若年層やモバイルユーザーの増加により、テレビ以外の異なるデバイスでのビデオ視聴が昨年から急増した。最も興味深いのは、このティーン層の43%が、パソコン、iPod(あるいは似たガジェット)、携帯電話以外でテレビ番組を見る気がしないと答えていることだ。

筆者紹介-遠竹智寿子

 外資系コンピュータメーカーのマーケティング部、広報部の勤務経験を経てフリーランスとして独立。ITジャーナリストとして調査、記事執筆を手掛ける一方で、企業向けコンテンツ企画やマーケティング調査などを手がける。 また、コミュニケーションスキルやIT・英語教育分野における研究、事業活動も行っている。現在、 月刊asciiに『マインドマップ「超」仕事術]『深化するCSR』を、アスキービジネスに『ビジネスマインドエッセンス』を連載中。

 次回は6月5日(火)ごろに掲載します。

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