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米中ではすでに巨大市場、日本もいよいよ普及期に突入

2007年は街中がメディアになる 「デジタルサイネージ」元年!

2007年05月23日 00時00分更新

文● 中西祥智(編集部) 写真●吉田 武

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月刊アスキー 2007年2月号掲載記事

巨大なリアプロジェクタ

ケータイさえあればホットペッパーは不要!? : 三菱電機が千代田区の東京ビルで行った実証実験。50型×8面の巨大なリアプロジェクタに表示されたメニューでビル内の店舗を選べば、QRコードかトルカでクーポンを入手できる。従来のこの手の端末は小型のものが多かったが、ここまで巨大になれば視認性・操作性とも良好。非常に目に付くため、道行く人が足を止める率も高かった。

 電車やタクシーの車内、駅やオフィスビルのフロア内、そしてビルの壁面など、いまやあらゆる場所で大小様々なディスプレイが、ネットワーク経由で配信された広告映像を表示している。これらは「OOH」(アウト オブ ホーム メディア)、あるいは「デジタルサイネージ」と呼ばれる。

 先行する米国ではテレビCMが日本ほどリーチしない(日本は6兆円の広告市場のうちテレビCMが30%以上だが、有料チャンネル主体の米国は20%以下)こともあって、スーパーマーケットに置いたディスプレイでCMを流すほうが、テレビCMより効果が高いという。米国のデジタルサイネージの広告市場規模は、2011年には4000億円になると予想される(フロスト&サリバン調べ)。
 中国でも、フォーカスメディアという企業がエレベーター内に設置したディスプレイに広告を配信して成功し、NASDAQに上場した同社の株式時価総額はすでに2500億円を超えた。

デジタル地図案内板

街角の地図もデジタル化! : 東京電力が渋谷駅周辺の4カ所に設置した「デジタル地図案内板」。上側のディスプレイにはニュースや広告、下側には地図を表示し、目的地情報を携帯電話に転送できる。写真の女性は渋谷にあるライブハウスを検索していた。

 日本では2005年にはデジタルサイネージのシステムの市場が129億円(富士通キメラ総研)となったが、メディアとして発展した米中とは少々事情が異なる。
 日本ではマスメディア的に、誰が見ても同じ映像を配信するだけでなく、QRコードやトルカを活用してクーポンを発行したり、モバイルECとの連動、あるいはIDを検知してユーザーに合う広告を表示するなど、「プロモーションのツールとして発展しつつある」(デジタルサイネージの代表的な企業であるピーディーシーの菅原淳之社長)という。

 ユーザーはケータイをディスプレイに近づければ商品情報を入手でき、そこで購買もできる。配信側はそのログをもとに絞り込んだ情報を表示するなど、「ユビキタスなプラットフォームとして」(菅原氏)の活用が期待される。

JR新宿駅に多数設置された65型液晶ディスプレイ

駅構内もディスプレイだらけ: 次世代の広告映像配信ビジネスを検証するために、JR新宿駅に多数設置された65型液晶ディスプレイ(撮影時は未稼働)。山手線の車両内の映像配信「トレインチャンネル」を駅構内にも拡大する試みで、ニュースや天気予報のほか、運行情報、さらにはアニメやサッカーの名ゴール集等も提供するという。

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